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高井ゆと里

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/10 05:17 UTC 版)

高井 ゆと里
人物情報
生誕 1990年(34 - 35歳)
日本
出身校 東京大学大学院人文社会系研究科
(倫理学研究室)
学問
研究分野 哲学倫理学
研究機関 群馬大学情報学部
学位 博士(文学)
主な受賞歴 若手論文奨励賞(日本生命倫理学会)[1]
公式サイト
高井ゆと里のホームページ
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高井 ゆと里(たかい ゆとり[2]、1990年[3] - )は、日本哲学者。群馬大学情報学部准教授。専門はハイデガー研究を中心とした西洋哲学、研究倫理および生殖の倫理などの生命倫理学、およびトランスジェンダー研究[4]

来歴

2013年3月、東京大学文学部思想文化学科卒業[5]。2015年3月、同大学院人文社会系研究科(倫理学研究室)修士課程修了。2019年8月、同博士課程(倫理学研究室)単位取得満期退学[5]。 2020年2月に博士(文学)を取得[5]

2017年以降、千葉大学埼玉医科大学ほかで非常勤講師[5]。2019年8月国立がん研究センター特任研究員、2021年4月石川県立看護大学講師を経て[3]、2022年4月より群馬大学情報学部准教授を務める[2][1]

ノンバイナリー当事者であることを2021年11月に公表している[6][7]

研究・活動

学部時代から熊野純彦ゼミに所属[8]し、卒業論文で『存在と時間』をテーマとして以来ハイデガー研究を専門としている。哲学者の丸山文隆は、高井の著書『ハイデガー:世界内存在を生きる』を日本語圏における優れたハイデガー入門書と評価している[9]

2023年、周司あきらとの共著で、トランスジェンダーに関する日本初の入門書『トランスジェンダー入門』を刊行した[10]。本書は複数の書評で、現在のトランスジェンダー差別を考えるうえで優れた入門書と評価されている[11][12][13][14][15]。このほかにも、共著者や編者として、トランスジェンダーの立場から性別について捉え直す書籍や[16]性同一性障害特例法を検討する書籍[17]を手掛けている。

受賞

  • 2021年‐松井健志との共著論文「臨床研究からの妊婦の排除という倫理的問題」にて、日本生命倫理学会若手論文奨励賞を受賞[18]
  • 2022年‐翻訳書『トランスジェンダー問題:議論は正義のために』にて、紀伊國屋じんぶん大賞4位にランクイン[19]
  • 2024年‐周司あきらとの共著『トランスジェンダー入門』にて、紀伊國屋じんぶん大賞3位にランクイン[20]
  • 2024年‐周司あきらとの共著『トランスジェンダー入門』にて、新書大賞5位にランクイン[21]

著作

単著

共著

編著

訳書

主な学術論文

  • (共著:松井健志)「プラセボ対照試験は倫理的に許されるか?:均衡原則をめぐる論争」『医学哲学医学倫理』39号、2021年。
  • (共著:松井健志)「臨床研究からの妊婦の排除という倫理的問題」『生命倫理』31巻1号、2021年。
  • (共著:松井健志)「臨床研究における「治療との誤解」再考」『医学哲学医学倫理』40号、2022年。
  • 「希少性疾患と医療資源分配の正義」『生命倫理』32巻1号、2022年。
  • 「世界は我が家なのか?:フェミニスト現象学と実存論的分析論」(特集:フェミニズムと実存)『実存思想論集』38号、2023年。
  • (共著:山田秀頌)「トランスジェンダーの性別承認法における不妊化要件に妥当性はあるか」『生命倫理』33巻1号、2023年。

脚注

  1. ^ a b 高井 ゆと里”. researchmap. 2023年4月3日閲覧。
  2. ^ a b 高井ゆと里”. 明石書店. 2023年4月2日閲覧。
  3. ^ a b 高井ゆと里『存在と時間』の新しい読み方【著者に聞く】”. 中央公論 (2022年4月22日). 2023年4月2日閲覧。
  4. ^ "教員紹介."群馬大学情報学部・情報学研究科. 2024年3月29日閲覧。
  5. ^ a b c d "マイポータル."researchmap(科学技術振興機構). 2024年3月29日閲覧。
  6. ^ トランスジェンダー問題 議論は正義のためにp.418
  7. ^ 「自分らしく生きる」「差別に反対」トランスジェンダーの人権訴え東京・新宿で1000人が行進」『東京新聞』2022年11月12日。2023年4月3日閲覧。
  8. ^ "高井ゆと里『存在と時間』の新しい読み方【著者に聞く】."web「中央公論.jp」(2022年4月22日). 2024年5月4日閲覧。
  9. ^ a b 丸山文隆 (2022). “書評 高井ゆと里『ハイデガー 世界内存在を生きる』”. 現象学年報 (38): 103-106. https://pa-j.jp/journal/38.pdf. 
  10. ^ 阿部岳 (2023年8月21日). “[大弦小弦]「トランスジェンダー入門」を読んだ後は | 大弦小弦”. 沖縄タイムス+プラス. 2025年5月13日閲覧。
  11. ^ 武田砂鉄 (2023). “『トランスジェンダー入門』周司あきら、高井ゆと里著 変わらなければいけないのは誰か”. 青春と読書 58 (8): 76. http://seidoku.shueisha.co.jp/2308/read09.html. 
  12. ^ 江原由美子 (2023年). “「知っているつもり」の人こそ読んでほしい本”. 集英社新書プラス. 2025年5月13日閲覧。
  13. ^ 桜庭一樹 (2023年). “立ち去るために質問するな”. 集英社新書プラス. 2025年5月13日閲覧。
  14. ^ 三木那由他 (2023年8月26日). “(売れてる本)『トランスジェンダー入門』 周司あきら、高井ゆと里〈著〉:朝日新聞”. 朝日新聞. 2025年5月13日閲覧。
  15. ^ 橋爪大三郎. “今週の本棚:『トランスジェンダー入門』=周司あきら、高井ゆと里・著”. 毎日新聞. 2025年5月13日閲覧。
  16. ^ a b c トランスジェンダーのQ&A本 「性別とは何か、理解を」 群馬大・高井准教授ら出版 /群馬”. 毎日新聞. 2025年5月13日閲覧。
  17. ^ a b 隠岐さや香 (2024年5月4日). “(書評)『トランスジェンダーと性別変更 これまでとこれから』 高井ゆと里〈編〉:朝日新聞”. 朝日新聞. 2025年5月13日閲覧。
  18. ^ 若手論文奨励賞”. 日本生命倫理学会. 2025年5月13日閲覧。
  19. ^ 紀伊國屋じんぶん大賞2023 読者と選ぶ2022年の人文書ベスト30”. 紀伊國屋書店 - 本の「今」に会いに行こう. 2025年5月13日閲覧。
  20. ^ 紀伊國屋じんぶん大賞2024 読者と選ぶ2023年の人文書ベスト30”. 紀伊國屋書店 - 本の「今」に会いに行こう. 2025年5月13日閲覧。
  21. ^ 歴代の大賞|新書大賞|中央公論.jp”. 中央公論.jp. 2025年5月13日閲覧。

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