食道の解剖学(構造)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/15 21:35 UTC 版)
食道の解剖学で、必須とすら言える二つの特徴がある。食道は消化管の一部ではあるが、特異な特徴を持ち、一つは漿膜を欠くこと、そしてもう一つは内側面が重層扁平上皮に覆われていることである。 これは、食道癌の性質にも反映されるので、重要である。まず、最外層を漿膜が覆っていないため、他臓器浸潤が起こりやすい。また、食道癌の組織型(癌を顕微鏡で見たときの分類)は、扁平上皮癌が多く(90.5%)、バレット食道などの背景がなければ、腺癌は、少数派に属する(我が国では4%程度)。これは、欧米の場合、腺癌の頻度が50-70%であるのと対照的である。 また、食道は、頚部食道、胸部食道(胸部上部食道、胸部中部食道、胸部下部食道)、腹部食道の領域に区分される。 頚部食道は、下咽頭と連続しており、発声を司る喉頭とも隣接した位置にあるため、癌病変の深達度(どれだけ深い場所まで浸潤しているか)によっては、「咽頭・喉頭・頚部食道切除術」が必要とされ、食道発声の会得や発声を補助する器具の使用がなければ、永久に声を失うことになる。 胸部食道は、我が国で最も食道癌が発生しやすい部位である。胸部中部食道が最も多く(48%)、胸部下部食道(27.7%)、胸部上部食道(11.9%)と続く。
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