非セリエル系のキリスト教音楽
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/23 23:17 UTC 版)
「キリスト教音楽」の記事における「非セリエル系のキリスト教音楽」の解説
その他の作曲家ではリゲティの「レクイエム」および「永遠の光」(ルクス・エテルナ)が現代音楽における傑作の地位を確立している。またキリスト教的題材を表した曲ではないが、彼の曲でオルガンのための「ヴォルミナ」は、オルガンという楽器にトーン・クラスターを持ち込んだことで、以後のオルガン音楽に大きなインパクトを与えた。ルチアーノ・ベリオは中期の管弦楽曲で「エピファニー」などの傑作を書いている。 前述のペンデレツキは上記以外にも、中期には代表作「ルカ受難曲」を作曲した。それまでトーン・クラスターと呼ばれる強烈な音響を駆使する作風を用いて来たペンデレツキは、この「ルカ受難曲」において全曲の大半をやはりクラスターで作曲しておき、最後でイエス・キリストの復活を表すのに、クラスターから一転してホ長調の主和音(ミ・ソ#・シ)を全管弦楽・合唱のトゥッティで鳴らした。このことは、調性音楽を否定してきた戦後の現代音楽界に大きな波紋を広げた。そのたった一つの協和音で「折衷主義」と批評(批判)されたペンデレツキは、これ以降保守的な作風に転向することになる。それ以降も作風は変化したものの、「グローリア」、交響曲第7番「エルサレムの7つの門」などのカトリック的題材に基づくキリスト教音楽を作り続けている(前述のメシアンの「アッシジの聖フランチェスコ」においても、神の奇跡が起きた瞬間に不協和音から一転してハ長調主和音が鳴るという演出があり、明らかな影響が見られる)。
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