電気トースターとは? わかりやすく解説

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トースター

(電気トースター から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/22 18:51 UTC 版)

ポップアップ式トースター
ホットドッグ専用のトースター。中央の丸穴にソーセージが入っている。左右の半月穴には縦切りにしたホットドッグバンを入れる。
一切れのパン。トースト(右側)
トースターで焼いた食パン。トースト。

トースター英語: Toaster)は、パンを焼くために用いられる熱源付きの調理用器具[1]。「トースター」と称される機器には本体内部に独自の熱源を持たない「レンジ・トースター」や「Wサンド・トースター」もあるが[2]、本項では内部に熱源を持つポップアップ型やオーブン型の電気トースター(electric toaster)を中心に述べる。

概要

家庭用の電気トースターはポップアップ型オーブン型に分類され[1][3]、後者は特に「オーブントースター」と呼ばれる。いずれも甲種電気用品である[3]

ポップアップ式トースターは、通常、食パンを差込み、焼き上がると時限式でせり上がる形式である[4]。「グローバルトースター市場 製品カテゴリ割合 2023」(Fortune Business Insightsのリサーチデータから作成)によると、ポップアップ式トースターはトースター製品群のうち66.73%のシェアで欧米では主流となっている[4]

このほかに主にホテルビュッフェなど業務用に用いられるコンベア式トースターがあり、大量のトーストを連続して焼くことができ、内部を循環するコンベアに食パンを挿入するとヒーター管の間を移動しながら焼き上がる仕組みになっている[4]。なお、日本では家庭用にパンが横に移動しながらトーストされる「ウォーキング式トースター」が発売されたこともある(WT-2、東芝1959年[5]

電気トースターの発熱部の形態としては、充電部が露出した発熱線を有するもののほか、シーズ式、スペース式、ドータイト式、石英管式、被覆式、ランプ式、半導体利用のもの、電極式のものなどがある[6]

歴史

トースターの起源については諸説あるが、一説には1893年スコットランド出身の科学者のアラン・マックマスターズが考案し、それをクロンプトンアンドカンパニー社が製品化したものとされる[4]。これが様々に形を変えて世界各地に普及した[4]

1910年にはエジソン社が「ラジオトグルトースター」を発売したが、扉を開くたびに自動的にパンが裏返しとなる機構にトーマス・エジソンのアイデアが用いられている[7]

1905年にはアルベルト・マーシュがローストの熱に長時間耐えられるフィラメントとして利用できるニクロム線を発見し、20世紀初頭に多くの電気トースターが普及する素地となった[8]

スプリングとタイマーの付いたポップアップ型の電気トースターは、1921年にアメリカのチャールズ・ストライトが発明し、特許を取得した[8]

日本でポップアップ型トースターが発売されたのは1956年である[2]。日本では、これに先立って1952年にヒーターが中央に付いており、のぞき窓で焼き具合を確認してレバーを手動で引き上げると食パンが反転し、もう一面を焼くターンオーバー式トースターが発売されていた[2]。しかし、ターンオーバー式トースターは、焼き時間が長く、焼きムラが出る欠点があったため、これを改良したものが1956年に発売された手動式ポップアップトースターである[2]。その後、バイメタルを使用した自動式ポップアップトースターも開発された[2]

種類

ポップアップ型

ポップアップ型のトースターは「ポップアップトースター」とも呼ばれる。縦置き式の箱型でスライスした食パンが収まる幅と深さの溝があり、そこに食パンを挿し電源スイッチを兼ねたレバーを押し下げると、食パンは1-3分で焼け自動的に迫り上がってくる。1枚だけ焼けるもの、2枚焼けるもの、4枚焼けるものなどがある[3]

熱源(発熱体)に調理物を平行に挟み込みながら表面に焼き目をつけ加熱調理する。庫内を熱い空気が上昇するため、ヒーターを低い位置では高密度、高い位置では低密度にするなどの工夫を行い、焼きムラを防いでいる[2]。バイメタル式と電子タイマー式がある[3]

欧米ではトースト専用に設計された機器であり、常に理想的なトーストを短時間に仕上げるのに適していることなどから普及している[4]

オーブン型

トースターのうちオーブン型のもの[1]。食パンを焼くほか、クロワッサンバターロールを温めたり、ピザを焼くなど、複数のニーズに対応した機種であり、前開きで中の見える扉、温度調整機構とタイマーを標準装備とする[2]。オーブン式トースターは世界的なシェアはトースター製品群の約2割程度で日本を含めたアジア地域で用いられている[4]

なお、日本の電気用品安全法の範囲等の解釈では、「085 電気トースター」は「専らスライスされた食パンを焼くための電熱器具」とされ[9]、一般にオーブントースターと呼ばれている機器は「086 電気天火」に区分している[10]

トースターを扱った作品

脚注

出典

  1. ^ a b c 意匠分類定義カード(C6) 特許庁
  2. ^ a b c d e f g 牧浦 健二、牧浦 昭夫「「イノベーターのジレンマに関する一考察」―日本の事例研究による検証を中心にして―」『商経学叢』第61巻第2号、近畿大学商経学会、2014年12月、25-60頁。 
  3. ^ a b c d 『現代商品大辞典 新商品版』 東洋経済新報社、1986年、772頁
  4. ^ a b c d e f g Orii Tatsu (2024年6月28日). “あなたは欧米式トースター派? 日本式トースター派?”. NEWS PICKS. 2025年8月22日閲覧。
  5. ^ 昭和家電パラダイスガイドブック”. 青森県立郷土館. p. 2. 2025年8月22日閲覧。
  6. ^ 型式の区分 電気トースター”. 一般財団法人電気安全環境研究所. 2025年8月22日閲覧。
  7. ^ バンダイミュージアム エジソンコレクション(エジソンミュージアム)”. 公益財団法人バンダイコレクション財団. 2025年8月22日閲覧。
  8. ^ a b ビー・ウィルソン『キッチンの歴史:料理道具が変えた人類の食文化』真田真由子訳 河出書房新社 2014年 ISBN 9784309022604 pp.139-140,145-146.
  9. ^ 085 電気トースター”. 経済産業省. 2025年8月22日閲覧。
  10. ^ 086 電気天火”. 経済産業省. 2025年8月22日閲覧。

関連項目




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