阿部青鞋とは? わかりやすく解説

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阿部青鞋

阿部青鞋の俳句

あめつちを俄かに思ふくさめして
いつとなくたがいちがひの浮寝鳥
いづれともなきところにて足袋を穿く
くさめして我は二人に分かれけり
くちびるをむすべる如き夏の空
この国の言葉によりて花ぐもり
すぐ先を目ざしておよぐ目高かな
その父のむっつりと見る赤ん坊
てのひらをすなどらむかと思ひけり
どきどきと大きくなりしかたつむり
ねむれずに象のしわなど考へる
ひたいから嬉しくなりてきたりけり
みんなみの暗きよりきて風ひかる
わが腋も葡萄の花をこぼすべし
トランプのダイヤに似たる夏ごころ
一匹の穀象家を出てゆけり
七夕や輪ゴムが一つ落ちてゐる
三日月が時には足の近くにあり
両眼をおさへて夏に入りにけり
人の手ととりかへてきしわが手かな
八月は食器を買ふにふさはしき
半円をかき恐しくなりぬ
参考に一つの星が流れけり
啓蟄のそとから家の中を見る
堕天使のごとき焚火をかこみけり
夏草の下にあるべきピンセット
夢にして蜂蜜どうとながれけり
大花火天を感じてのちこぼれ
大野火のなかより誰か燃えきたる
室内を歩いて夏を待ちにけり
少しづつあらはに積もるみぞれかな
干しておく蝙蝠傘の下をおもふ
度しがたき提琴色の夏の暮
悲しみは我にもありとむかでくる
想像がそつくり一つ棄ててある
或る時は洗ひざらしの蝶が飛ぶ
手をのこしゆく人ありて汐干狩
正直に花火の殼が落ちてゐる
河童忌の日の当りゐるところかな
泥棒が見ればコルクが落ちてゐる
洪水はもしくは鼻毛などに似て
海溝に貝の墜ちゆく夏の夢
涼しくて胸にちからを入れにけり
炎天をゆく一のわれまた二のわれ
片あしのおくれてあがる田植かな
病院のかゆの中から時計が出る
秋晴れや蝶はつめたきところより
空気のみ容れたる壺を飾りおく
空蟬のなかにも水のひろがりて
立ちあがりくる夏汐のふぐり見ゆ
 

阿部青鞋

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/12 00:16 UTC 版)

阿部 青鞋(あべ せいあい、1914年11月7日 - 1989年2月5日)は、俳人。本名は麗正(よしまさ)。

現在の東京都渋谷区に生まれる。1933年高輪学園卒業。1936年新興俳句系の「句帖」に参加。1937年渡辺白泉らの同人誌「風」に参加。「螺旋」「動線」を創刊。1940年住谷栄子と結婚。1941年8月に召集を受けるが、大陸で戦病となり11月に解除。1945年岡山県英田郡巨勢村(現・美作市)に疎開、以後33年間同地に居住した。1957年「花実」参加。1958年「俳句評論」参加。1959年受洗1963年「瓶」(のち「壜」)創刊。「八幡船」参加。同年公務を退き林野協会牧師となる。1969年永田耕衣の初期句集『真風』を編集発行。1974年「対流」参加。1978年東村山市の次女夫婦宅に転居。1983年第30回現代俳句協会賞受賞。1989年死去(享年74)。

代表的な句に「かたつむり踏まれしのちは天の如し」「永遠はコンクリートを混ぜる音か」など。比喩に飛躍のあるユニークな句を多数作っている。

句集

  • 『句壷抄』(1957年)
  • 『阿部青鞋集』(1966年)
  • 『火門集』(1968年)
  • 『樹皮』(1968年)
  • 『続・火門集』(1977年)
  • 『霞ヶ浦春秋』(1979年)
  • 『火門私抄』(1982年)
  • 『ひとるたま』(1983年)
  • 『阿部青鞋俳句全集』 暁光堂 (2021年)

参考文献

  • 阿部青鞋 『現代名俳句集 第一巻』 新教社、1941年
  • 阿部青鞋 『俳句の魅力 阿部青鞋選集』 妹尾健太郎編、沖積舎、1994年

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