酸化膜厚の依存性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 07:58 UTC 版)
90 nmCMOSプロセスなどのテクノロジーノードでは、閾値電圧は酸化膜の種類と酸化膜厚に依存する。上述の基盤効果の式を用いると、 V T N {\displaystyle V_{TN}} は γ {\displaystyle \gamma } と t O X {\displaystyle t_{OX}} に比例し、これは酸化膜厚のパラメータである。 よって酸化膜厚が薄くなると、閾値電圧は小さくなる。これは改良のように見えるが、代償が無いわけではない。酸化膜厚が薄くなれば、デバイスのサブスレッショルド電流も大きくなる。その結果、90nmゲート酸化膜厚の設計仕様は、リーク電流を制御するために1 nmとする。この種のトンネル効果はFowler-Nordheimトンネル効果と呼ばれる。 I f n = C 1 W L ( E o x ) 2 e − E 0 E o x {\displaystyle I_{fn}=C_{1}WL(E_{ox})^{2}e^{-{\frac {E_{0}}{E_{ox}}}}} ここで C 1 {\displaystyle C_{1}} と E 0 {\displaystyle E_{0}} は一定で、 E o x {\displaystyle E_{ox}} はゲート酸化膜中の電場である。 設計構造が90 nm以下となる前は、酸化膜厚を作るデュアル酸化膜アプローチがこの問題の一般的な解決法であった。90 nmプロセス技術では、トリプル酸化膜アプローチが一部で適用された。1つの標準酸化薄膜がトランジスタの大部分で使われ、別のものはI/Oドライバーセルに、さらに別のものはmemory-and-passトランジスタセルに用いられた。これらの違いは、CMOS技術の閾値電圧上の酸化膜厚の特性にのみ基づいている。
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