配偶様式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/02 15:47 UTC 版)
「ヨーロッパカヤクグリ」の記事における「配偶様式」の解説
ヨーロッパカヤクグリは、繁殖において多様な配偶様式(一夫一妻・一夫多妻・一妻多夫・多夫多妻)を有する。本種は多くの場合が一妻多夫であり、雌は一度に2羽またはそれ以上の雄と繁殖行動をとる。一妻多夫は鳥類のなかでは非常にまれで、鳥類の種のうち1%以下 (0.4%) がそのような交配様式を示し、大多数は1羽の雄と1羽の雌が繁殖する一夫一婦である。このような配偶様式は、求愛する雄の間の精子競争(英語版)を生じさせる。雄は雌への交配接近を争い、DNA型鑑定では、繁殖力のある雌への占有接近の成功に応じて、一孵りの雛(ひな)のなかにしばしば異なった雄親があることを示している。雄は交尾の成功に比例して雛の世話をするため、2羽の雄を認めることは珍しくなく、一般に、2羽の雄と1羽の雌が、1つの巣で雛に給餌しているのが見られる。 そのほかの配偶様式もまた、雌に対する雄の比率や縄張りの重複に応じてヨーロッパカヤクグリの個体群に生じる。1羽の雌と1羽の雄の縄張りだけが重なり合うときには、一夫一婦が優先される。ときに2-3か所の隣接した雌の縄張りが1羽の雄の縄張りに重なり、雄が数羽の雌を占有する場合などは、一夫多妻が選択される。多夫多妻(英語版)もまた、2羽の雄が共同で複数の雌のいる縄張りを守る場合に認められる。この配偶様式はシギダチョウ類や平胸類(走鳥類)のほかヨーロッパカヤクグリなど一部の鳴禽類にも特異的に見られる。しかしながら、自然界で見られるヨーロッパカヤクグリの最も一般的な配偶様式は一妻多夫である。個体群にもよるが、雄は通常、一夫多妻の個体群において最良の繁殖成功度があり、雌は一妻多夫の場合に優位性をもつ。 研究では、ヨーロッパカヤクグリの配偶様式の可変性が明らかにされている。豊富に餌が認められる場合、雌の縄張りの広さは大幅に縮小する。その結果、雄はより容易に雌を占有することができる。このように配偶様式は、雌の成功に有利にはたらくもの(一妻多夫)から、雄の成功を促進するもの(一夫一妻、多夫多妻、一夫多妻)へと転換することができる
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