遷移金属による反応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/01/13 11:57 UTC 版)
遷移金属錯体は複数のアルケンやアルキンが同時に配位した際にメタラサイクルを形成し、そこから挿入反応、さらに還元的脱離することで環状化合物を形成する。この反応は結果的に見れば環化付加反応である。遷移金属による反応の生成物は他の機構ではあまり見られないような独特のものとなる。特に3成分の環化付加反応は特徴的である。 ブタジエン2分子はニッケル錯体存在下に(4+4)環化付加による二量化を起こし、1,5-シクロオクタジエンを生成する。触媒種によっては1,5,9-シクロドデカトリエンが生成する(4+4+4)環化付加反応が起こることも知られている。 アルキン3分子の(2+2+2)環化付加反応によるベンゼン環の生成はコバルト錯体CpCo(CO)2をはじめとするいくつかの遷移金属の錯体を触媒として進行することが知られている。アルキン2分子とニトリルからピリジンが生成する反応も同様である。 また、アルキン-ジコバルトヘキサカルボニル錯体はアルケンと反応して、アルキン、アルケン、一酸化炭素間で(2+2+1)環化付加反応を起こし、2-シクロペンテノンを生じる。これはポーソン・カンド反応として知られている。
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