運動能力の分化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/08 02:05 UTC 版)
雌雄で運動能力に分化が見られる例もある。そもそも配偶子が卵と精子のように二つに分化したのも、運動能力を持つものと栄養を貯蔵するものに分化したものと考えられるから、配偶子と同じことが個体にも起きたのだとも言える。 昆虫には特にそのような例が多い。ネジレバネは昆虫に寄生する昆虫だが、雌は寄生したまま幼虫のような形で生涯を終える。それに対して雄は翅をもった成虫となって雌を探して交尾する。それと逆になるのがイチジクコバチで、雄は翅を持たずイチジクの実の中に閉じ込められたままで生涯を終えるのに対し、雌は翅を持って新たな繁殖場所として他の実を探して移動する。 同様の変化はホタル類にも見られる。日本ではヒメボタルでは雌は飛行性がないが翅はある。マドボタル類では雌は腹が大きく翅の小さいイモムシ状で、全く飛べない。ガ類ではフユシャクやミノガ類に雌が飛べない種がある。さらに極端なのが雌が幼形成熟してしまうものである。ミノガ類の一部やホタル類の一部に、雌がほとんど幼虫の姿のままの種がある。 いずれにしても、昆虫では雌が運動能力を失う例が多く、これは運動能力を犠牲にしてその分のエネルギーを卵の形成に割り当てた結果だとする考え方がある。イチジクコバチは数少ない例外の一つである。
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