【超々ジュラルミン】(ちょうちょうじゅらるみん)
零式艦上戦闘機の機体構造材として開発された合金の一種。
JIS規格では7076-T6と呼ばれる。
アルミニウム-亜鉛-マグネシウムの合金で、高い引っ張り強度と耐圧力を持つが、長い時間がたつと自然に強度が低下する欠点もある。
現在でも多くの航空機の機体に使用されている。
超々ジュラルミン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/01 09:21 UTC 版)

超々ジュラルミン(ちょうちょうジュラルミン)とはアルミニウム合金の一種であり、日本産業規格(JIS)では"A7075"と呼ばれるものである。
アルミニウムを主体とする合金であり、他の金属の割合は亜鉛5.5 %、マグネシウム2.5 %、銅1.6 %である。加工硬化によって高い引っ張り強度と耐圧力性を持つが、長い時間が経つと強度が低下する弱点もある。劣化し、腐食すると薄い欠片状に崩れていく。
開発の経緯
1936年(昭和11年)に、日本の住友伸銅所が海軍航空廠の要請によりこの超々ジュラルミンを開発した[1][2][3]。その強度は、超ジュラルミンと呼ばれたアルミニウム合金2000番台よりも高かった。また、日本海軍の零式艦上戦闘機に使用された[4]。21世紀現在では、同種のアルミニウム合金が軽量でありながら強度が求められる多様な工業製品に使われている。現在ではJISにおいてA7075[5]と型番が与えられ、広く活用されている。
脚注
- ^ 吉田英雄「日本における航空機用アルミニウム合金開発の歴史—零戦からボーイング777まで—」『軽金属』第65巻第9号、2015年、 432-440頁、 doi:10.2464/jilm.65.432。
- ^ 日本アルミニウム協会 年表
- ^ 同時期に海軍でも研究開発が進められており、住友金属工業より約2週間の遅れで特許出願に至っている。
- ^ 1937年(昭和12年)に開発が決定された零式艦上戦闘機では、1938年(昭和13年)、同戦闘機の設計の際に、設計主務者であった堀越二郎技師が既に開発されていたこの新合金を、主翼主桁の材料として採用した。零式艦上戦闘機以外の軍用機にも、ジュラルミン系のアルミニウム合金が多用された。
- ^ A7075
関連項目
外部リンク
- 社団法人 日本アルミニウム協会
- 吉田英雄「アルミニウム技術史 ジュラルミンから超々ジュラルミンまで(第1回)ジュラルミンとZeppelin飛行船 (PDF) 」 『UACJ technical reports』第4巻第1号、UACJ技術開発研究所 編、2017年、 101-111頁、 ISSN 2189-1222、 NAID 40021505865。
- 吉田英雄「アルミニウム技術史 ジュラルミンから超々ジュラルミンまで(第2回)超ジュラルミンとDC-3」『UACJ technical reports』第4巻第1号、UACJ技術開発研究所 編、2017年、 112-122頁、 ISSN 2189-1222、 NAID 40021505873。
- 吉田英雄「アルミニウム技術史 : ジュラルミンから超々ジュラルミンまで(第3回)日本におけるジュラルミンおよび超ジュラルミンの研究および製造技術の発展」『UACJ technical reports』第5巻第1号、UACJ技術開発研究所 編、2018年、 92-105頁、 ISSN 2189-1222、 NAID 40021884727。
- 吉田英雄「アルミニウム技術史 : ジュラルミンから超々ジュラルミンまで(第4回)超々ジュラルミンと零戦(1)五十嵐勇博士と超々ジュラルミンの発明」『UACJ technical reports』第5巻第1号、UACJ技術開発研究所 編、2018年、 106-121頁、 ISSN 2189-1222、 NAID 40021884745。
- 吉田英雄「アルミニウム技術史(第8回)超々ジュラルミンと零戦(1)五十嵐勇博士と超々ジュラルミンの発明」『軽金属』第66巻第1号、軽金属学会、2016年1月、 26-38頁、 ISSN 0451-5994、 NAID 40020707041。
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