賃貸人の承諾のない譲渡・転貸
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 16:45 UTC 版)
「賃貸借」の記事における「賃貸人の承諾のない譲渡・転貸」の解説
賃借人-譲受人・転借人間賃借人と譲受人・転借人との間の契約はあくまでも有効であるから、賃借人は譲受人や転借人に対して明渡請求はできないとともに、賃借人は賃貸人に対して遅滞なく承諾を得る義務を生じる。ただし、譲受人・転借人は賃貸人に賃借権を対抗できないため、賃貸人に対する明渡しによって譲受人や転借人の使用収益が困難となれば、賃借人は担保責任を負わねばならない(561条)。 賃貸人-賃借人間賃借人が目的物の転貸や賃借権の譲渡を無断で行ったときは、賃貸人は契約を解除することができる(612条)。ただし、土地の無断転貸が、賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情がある場合においては、解除権は発生しない、というのが判例である(最判昭28・9・25民集7巻9号979頁)。これは無断譲渡(最判昭39・6・30民集18巻5号991頁)や借家権についても同様である。これらは信頼関係破壊の法理として説明されるものであるが、無断譲渡・転貸には原則として背信性があるが賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情がある場合に限って解除権は発生しないと構成するものであるから、特段の事情については賃借人が立証責任を負う。 また、賃貸人は賃借人との間の賃貸借契約を存続させたまま、譲受人・転借人に対して明渡しを請求することもでき、この場合において多数説は賃借人への引渡しのみ認められるとするが、判例は賃貸人への引渡しも認めている(最判昭26・5・31民集5巻6号359頁)。 賃貸人-譲受人・転借人間譲受人・転借人は賃貸人に対しては不法占拠者の地位に立たされることとなり、賃貸人は賃借人との契約の解除の有無を問わず譲受人や転借人に賃貸借の目的物の引渡しを求めうるほか損害賠償を請求できる(最判昭41・10・21民集20巻8号1640頁)
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