訴因変更の要否
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/11 23:09 UTC 版)
訴因は犯罪の具体的事実を記載したものである。訴因として記載された事実と異なる事実を認定するためには、訴因の変更が必要になる。しかし、わずかな事実の変動で、いちいち訴因の変更手続きを要求するのは現実的ではない。そこで一定の重要な事実の変更の場合に訴因変更が必要となる。 審判対象の画定に不可欠な犯罪の本質的事実と異なる事実を認定するためには、訴因変更が必要である。ただし、訴因に含まれる事実の一部だけを認定するような場合には、訴因変更手続は不要とされる。これを縮小認定という。事実関係に相違がなければ法律構成に変動があっても訴因変更手続は不要である。 審判対象の画定に不可欠ではない犯罪の非本質的事実が争点を明確にするために訴因に記載された場合に、その事実と異なる事実を認定するためには、原則として訴因変更手続が必要である。ただし認定される事実が被告人にとって不意打ちでなく、かつ訴因に記載された事実より不利益な事実でない場合には、例外的に訴因変更手続が不要となる。非本質的事実ではあるが訴因に記載されることの多い事実としては、動機や犯行に至る経緯などがある。 審判対象の画定に不可欠ではない犯罪の非本質的事実が訴因として記載されていない場合であっても、不意打ちを防止するために争点として顕在化しておかなければ、その事実を認定することはできない。争点を顕在化する手続としては、裁判官が検察官に対して立証を促したり、弁護人に対して防御を促したりすることが考えられる。また証人尋問の際に、裁判官からその点について質問するなどして関心を示しておけば足りる場合もある。 (起訴状の変更 刑訴法312条) 訴因変更の要否に付き最判昭41.7.26
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