被災者の分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/05/04 07:09 UTC 版)
1970年5月31日のアンカシュ地震の被災者を研究したS・W・ドゥダシクの著書『Victimization in natural disaster. Disasters(災害の中の被災者と災害)』(1980年発行)の中において、被災者は、以下の4つのグループに分類されている。 一次被災者 (Primary victims)→災害の影響により何らかの損失等を受けた人(または人々) 近接被災者 (Context victims)→災害の影響または結果によって、直接・間接的に影響を受けた人(または人々) 周辺被災者 (Peripheral victims)→被災地域と強い関係を持ち、その結果として影響を受けた人(または人々) 進入被災者 (Entry victims)→被災地に外部から集まってきた人(または人々) たとえば火災の場合、"火災で家を焼かれた人"は一次被災者となり、"火災の影響は受けなかったが、災害後の臭気等に悩まされる隣家"は近接被災者、"その家に縁を持つ近親者"は周辺被災者となる。また、"消火活動をする人"は進入被災者になりうるのである。 これに対して、ニュージーランドの精神科医A・J・W・タイラーとA・G・フレイザーは、もっと細かい分類をしている。2人の場合、近接被災者から進入被災者を二次被災者から四次被災者としていて、四次被災者以降に五次被災者と六次被災者を設けている。五次被災者は、災害に関与していなくても精神的に苦痛を感じる人(または人々)。六次被災者は、直接的な被災を免れたが間接・代理的に災害に関与した人(または人々)。となっている。 先ほどの例に当てはめると、五次被災者は"テレビ中継などで火災現場を見て不快な感情を持った人"、六次被災者は"火災の原因が外部にあり、その原因を作った人"であると言える。 以上のことから、被災者と外部との境界線を見つけることが難しいことが分かる。また、救援者やボランティアも被災者になることがあり、一概に被災者を、“災害の中心にいた人”と言うことはできない。
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