虚偽公文書発行事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 06:41 UTC 版)
「障害者郵便制度悪用事件」の記事における「虚偽公文書発行事件」の解説
凛の会の場合、心身障害者用低料第三種郵便物として発送するために必要な障害者団体の証明に、厚生労働省発行の証明書が使用されており、虚偽公文書作成罪及び同行使罪も問題となった。この点に関して、文書を実際に作成した厚生労働省の元障害保健福祉部企画課予算係長だけでなく、文書の発行権限を持っていた元障害保健福祉部企画課長(逮捕時は現職局長)であった村木厚子が、大阪地方検察庁特別捜査部によって逮捕・起訴された。 証明書の作成権限のあった村木の指示については、大阪地方裁判所の刑事裁判において関係者の多くが否定しており、裁判の争点となった。村木の大阪地裁判決では、指示は認められないとして無罪が言い渡された。この無罪判決は、大阪地方検察庁が控訴を断念したため、2010年9月21日に確定判決となった。 村木の無罪判決を受け、2010年10月20日の元係長の公判において、検察官は、虚偽有印公文書作成罪及び虚偽公文書行使罪から有印公文書偽造罪及び偽造公文書行使罪に訴因変更する請求を行った。 虚偽公文書作成罪は、文書作成権限がある者が虚偽の文書を作成する犯罪である。係長には、証明書を独断で作成できる権限が無かったため、虚偽公文書作成罪が成立するためには、作成権限がある人物の指示を受け、共謀して作成していたことが必要である。 村木が無罪となり、元係長の単独の犯罪となれば、虚偽公文書作成罪は成立しないため、そのままでは凛の会元会長、凛の会発起人、元係長の3人とも虚偽公文書作成罪および同行使罪では無罪となる。そのため、訴因変更により公文書偽造罪および偽造公文書行使罪に変更する手続を行った。 凛の会元会長の裁判では、公文書偽造罪および偽造公文書行使罪への訴因変更を裁判所は認めず、無罪が確定した。一方で、凛の会発起人と元係長の公判では、公文書偽造罪および偽造公文書行使罪への訴因変更を裁判所は認めている。
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