自転と公転の共鳴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/07/04 12:02 UTC 版)
「自転と公転の同期」の記事における「自転と公転の共鳴」の解説
自転と公転の同期は、自転と公転の「1:1共鳴」と見なすことができ、軌道共鳴と類似した数学上の取り扱いが可能である。様々な整数比の軌道共鳴(平均運動共鳴)が存在するのと同様に、自転と公転の共鳴も他の整数比に拡張して考えることができる。よく知られているのは、水星の自転と公転が角速度にして3:2の関係にあるという事実である。この現象は、同期自転と本質的に同じメカニズムによって引き起こされている。 水星が、同期自転ではなくこのような共鳴した自転をしている原因は、その軌道離心率の高さ(e = 0.206)に求めることができる。天体が完全に真円の軌道(e = 0)で公転しているとき、同期自転(1:1共鳴)のみが、自転と公転の安定な共鳴関係になる。しかし軌道が楕円軌道になると、同期自転以外も安定である可能性が生じ、特に3:2の共鳴が強くなってくる。軌道離心率が小さいときに3:2共鳴について考えた場合、共鳴の強さを示す共鳴幅の値は、1:1共鳴(同期)を1とした相対値で、 7 e / 2 {\displaystyle {\sqrt {7e/2}}} と表せる。ここで e {\displaystyle e} は軌道離心率を表す。すなわち軌道離心率が低い場合は同期自転が安定だが、離心率が高くなると3:2自転の方が安定になる。この式に、水星の離心率(約0.2)を当てはめると、3:2共鳴は1:1共鳴の0.84倍の共鳴幅を持つことになる。これは、3:2共鳴より1:1の共鳴の方がやや強いものの、その共鳴幅に大きな差はなく、水星は同期自転と3:2共鳴自転の双方の状態を取りうることを示している。なお、1:1と3:2以外の比率では、共鳴幅はさらに小さい値にしかならない。
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