自国第一主義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/01 17:19 UTC 版)
自国第一主義(じこくだいいちしゅぎ)は、国家においての主義とされる事柄。
概要
佐藤寛は先進国が発展途上国への援助から撤退する大きな潮流として、1990年代以降から先進国は経済的に凋落し、他国よりも自国が大事であるという自国第一主義が台頭したということを指摘している。発展途上国の子供たちが食糧難となっていることに対しては、わが国も同じだとするなどである。自国が大変な状況であるというのに、なぜ外国を支援しなければならないのだという疑問を持たれるようになる[2]。
国家というのは自国の利益を優先することが外交の基本なのであるが、それにも限度があり、民主主義国家が自国第一主義を追い続ければ破綻することとなる。グローバリゼーションの進んだ世界においては、他国との協力や強調をしなければ国家を運営することは不可能なためである。単独では国家というのは存在することはできない。ヨーロッパの国々を一つにまとめ上げているEUの価値はここにある[3]。
自国第一主義は権力を強く求めている者の隠れ蓑となっている。世界では政治家の不祥事は後を絶たないのであるが、その特徴としては、そのような政治かは自国第一主義を掲げていたということが目立っている。勢力を拡大して政権を取れば世間の目は厳しくなるもので、不祥事が暴露される数も増えていく。その不祥事が政権をも危なくさせるほどならば、政治家の本当の姿の隠れ蓑として自国第一主義を掲げるようになっている[4]。
2025年7月の記事によると、ヨーロッパでも自国第一主義が広がっているとのこと。自国第一主義を掲げる政治家が台頭してきており、自国第一主義を掲げる政治家というのは、自然や多様性をスケープゴートとして支持を集めているとのこと。2024年6月に開かれたEU欧州議会選挙では右派と極右が25%を獲得していた。その直後にフランスで行われた議会選挙では自国第一主義を掲げた国民連合が大きく票を伸ばしていた。同年9月に行われていたオーストリアの選挙では自由党が第一党となっていた[5]。
脚注
- ^ “「自国第一」広がる世界に必要なリーダーとは 前国連事務総長に聞く:朝日新聞”. 朝日新聞 (2025年5月23日). 2025年11月1日閲覧。
- ^ “「自国第一主義」で人道援助が危機に 日本からできることとは|with Planet|朝日新聞”. with Planet. 2025年11月1日閲覧。
- ^ “不合理でも「自国第一主義」に走る政治家の魂胆 なぜ英国は「EU離脱」に至ったのか (3ページ目)”. PRESIDENT Online(プレジデントオンライン) (2019年12月16日). 2025年11月1日閲覧。
- ^ “「自国第一主義はナショナリズムか?」神奈川大学名誉教授・本誌前編集委員長 橘川 俊忠 | 特集/混迷の時代が問うもの”. gendainoriron.jp. 2025年11月1日閲覧。
- ^ “EUでも広がる「自国第一主義」、背景にマスコミュニケーションの「歪み」も(オルタナ)”. Yahoo!ニュース. 2025年11月1日閲覧。
- 自国第一主義のページへのリンク