能格言語との違い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/17 21:36 UTC 版)
いっぽうで、自動詞の主語と他動詞の目的語が同じように扱われ、他動詞の主語だけが別の扱いを受けるという性質(能格性)をもつ言語は能格言語(ergative language)と呼ばれる。 オーストラリアクイーンズランド州の先住民語・ジルバル語(英語版)では、自動詞の主語と他動詞の目的語には何も付かず、他動詞の主語にだけ ŋgu という標識が付く。このように、自動詞の主語と他動詞の目的語が同じように標示される(ジルバル語ならゼロで標示される)場合、その格を絶対格と呼び、他動詞の主語の格(ジルバル語なら ŋgu )を能格と呼ぶ。能格と絶対格を持つ格体系は絶対格・能格 (absolutive-ergative) 型、略して能格型と言われる。 ジルバル語の例a.ŋuma banaga-nyu 父+絶対格 来る-非未来 「父が来た」 b.yabu banaga-nyu 母+絶対格 来る-非未来 「母が来た」 c.ŋuma yabu-ŋgu bura-n 父+絶対格 母-能格 見る-非未来 「母が父を見た」 d.yabu ŋuma-ŋgu bura-n 母+絶対格 父-能格 見る-非未来 「父が母を見た」 それぞれの格体系をまとめると下表のようになる。 二つの格体系の違い対格型能格型主格 他動詞の主語能格 自動詞の主語絶対格 対格 他動詞の目的語対格型や能格型の格体系は、文中の名詞や名詞句の標示の仕方に見られる対格性や能格性の例と言える。
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