統計力学と量子力学の対応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/11 14:45 UTC 版)
「ウィック回転」の記事における「統計力学と量子力学の対応」の解説
ウィック回転は統計力学を量子力学と対応付ける際に用いられる。このとき、統計力学における逆温度1/kB T は量子力学における虚時間 i t / ℏ {\displaystyle it/\hbar } と置き換えられる。 まず、温度 T における調和振動子の集団を考える。エネルギー E を持つ調和振動子が実現する相対的確率は、カノニカル分布におけるボルツマン因子の形式でexp(-E /kB T ) と書くことができる。ここで、kB はボルツマン定数である。これより、可観測量 Q の期待値は、規格化定数を省略すると、 ∑ j Q j e − E j / ( k B T ) {\displaystyle \sum _{j}Q_{j}e^{-E_{j}/(k_{B}T)}\,} と表せる。 次に、ハミルトニアン H のもとで時間 t について発展する基底状態の重ね合わせにおいて、量子的な調和振動子1つを考える。エネルギー E を持つ基底状態の相対的な位相変化は exp ( − E i t / ℏ ) {\displaystyle \exp(-Eit/\hbar )} となる。ここで、 ℏ {\displaystyle \hbar } は換算プランク定数である。この状態の均一な重ね合わせ | ψ ⟩ = ∑ j | j ⟩ {\displaystyle |\psi \rangle =\sum _{j}|j\rangle \,} が、任意の重ね合わせ | Q ⟩ = ∑ j Q j | j ⟩ {\displaystyle |Q\rangle =\sum _{j}Q_{j}|j\rangle \,} へと遷移するような遷移確率振幅は、規格化定数を省略すると、 ⟨ Q | e − i H t / ℏ | ψ ⟩ = ∑ j Q j e − E j i t / ℏ ⟨ j | j ⟩ = ∑ j Q j e − E j i t / ℏ {\displaystyle \langle Q|e^{-iHt/\hbar }|\psi \rangle =\sum _{j}Q_{j}e^{-E_{j}it/\hbar }\langle j|j\rangle =\sum _{j}Q_{j}e^{-E_{j}it/\hbar }} となる。
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