第1記録
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/05 15:37 UTC 版)
ある年の夏の初めのこと。越後国魚沼郡堀内の問屋が、7里(約28キロメートル)離れた十日町の問屋へ急ぎ白縮を届けることになり、竹助という男が大荷物を背負って使いに出た 。7里の道のりの途中、山中で竹助は一休みして食事を取ろうとした。 そこへ谷間の根笹を押し分け、奇妙な獣が現れた。猿に似ているが猿ではなく、頭の毛が背中に垂れるほど長く、背丈は人間よりも大きかった。獣が弁当を欲しいそぶりをするので、竹助は用心しつつも弁当をわけると、獣は嬉しそうに食べ始めた。 安心した竹助は、帰り道にも弁当をわけてあげようと告げ、そろそろ出発しようと荷物を手に取ろうとすると、それより先に獣が荷物を背負い、竹助の前を歩き始めた。お陰で竹助は苦もなく山道を歩ききることができた。 目的地近くの池谷村(十日町市池谷)が見えてくると、獣は荷物を降ろして山へと駆け去った。その速さたるや、疾風のようであった。今(『北越雪譜』執筆の頃)より40~50年前のことである。以来、この獣は山を通る者にしばしば目撃された他、人家を訪れて食べ物をねだることもあったという。
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