積分区間が有界でない場合について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/25 03:10 UTC 版)
「広義積分」の記事における「積分区間が有界でない場合について」の解説
最も基本的な広義積分は、積分区間が有界でない積分、例えば ∫ 0 ∞ d x x 2 + 1 {\displaystyle \int _{0}^{\infty }{dx \over x^{2}+1}} である。前述のように、これは広義積分として定義しなくとも、代わりにルベーグ積分としても定義できる。しかし実際に計算する上では広義積分として扱うのが便利である。すなわち積分区間の上限が有限だとして計算し、次に上限が無限大に近づくときの極限を取るのがよい。被積分関数の原始関数は逆正接関数 arctan(x) なので、 lim b → ∞ ∫ 0 b d x 1 + x 2 = lim b → ∞ arctan b − arctan 0 = π / 2 − 0 = π / 2 {\displaystyle \lim _{b\rightarrow \infty }\int _{0}^{b}{\frac {dx}{1+x^{2}}}=\lim _{b\rightarrow \infty }\arctan b-\arctan 0=\pi /2-0=\pi /2} となる。広義積分の収束は、対応する極限が(有限値に)収束することと同値である。以下に収束しない広義積分の例を示す: ∫ 1 ∞ d x x = lim b → ∞ ∫ 1 b d x x = lim b → ∞ ln b = ∞ {\displaystyle \int _{1}^{\infty }{dx \over x}=\lim _{b\rightarrow \infty }\int _{1}^{b}{\frac {dx}{x}}=\lim _{b\rightarrow \infty }\ln b=\infty } . 積分区間の両端点が無限大の場合もある。そのような場合には二つの広義積分の和として考える: ∫ − ∞ + ∞ f ( x ) d x = ∫ − ∞ a f ( x ) d x + ∫ a + ∞ f ( x ) d x {\displaystyle \int _{-\infty }^{+\infty }f(x)\,dx=\int _{-\infty }^{a}f(x)\,dx+\int _{a}^{+\infty }f(x)\,dx} . ここで a は任意の(有限な)実数である。 この場合、広義積分の収束は、分割された両方の積分の収束と同値である。片方の積分が正の無限大に発散し、もう片方が負の無限大に発散するとき、元の積分は不定形となる。その値は、積分区間の端点それぞれがどのような関係を持っているかによって様々に変わり得る。コーシーの主値はこの不定性を取り除くための概念である。
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