神農氏とは? わかりやすく解説

神農氏

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/25 06:18 UTC 版)

神農氏(しんのうし)は、古国時代伏羲女媧政権黄帝有熊氏の間の時期に存在したとされる、伝説上の姜姓の氏族である。また、黄帝有熊氏蚩尤と同祖であるとされる[注釈 1][注釈 2][1][2]

概要

伝説では、紀元前3000年頃、神農が即位し、初代炎帝となった。都をに置き、補遂国を滅ぼしたとされる。また、風沙が起こした反乱を鎮圧し、の栽培を発明したとされる。

しかし8代炎帝楡罔の時期には、姜姓で同族にあたる蚩尤に敗れ、軒轅(後の黄帝)に助けを求め、炎黄連合軍で蚩尤を破った(涿鹿の戦い)が、阪泉の戦いで黄帝に滅ぼされた。これにより、黄帝有熊氏による支配が始まった[2]

これについては、風姓氏族(伏羲女媧政権)から姜姓氏族(炎帝神農氏)、そして姫姓氏族(黄帝有熊氏以降)へ政権が遷った事は、伝説ではあるが、そのモデルとなった出来事があったのではないかという意見が存在する(=信古派)。

炎帝

炎帝号に関しては、大庭氏が炎帝を名乗ったとされ、炎帝号は神農が新たに創始した称号ではなかったとされる。また、大庭氏の時代、風姓の8氏族に代わり、姜姓の5氏族が中華を治めるようになり、そのうち最も有力であったのが後の神農氏である、とされる[2]

帝室

これらは全て伝説上のものである事に留意。

  • 神農 (1)  51年間在位。
  • 帝臨魁(2)  60年間在位。
  • 帝承 (3)  3年間在位。
  • 帝明 (4)  54年間在位。
  • 帝直 (5)  23年間在位。
  • 帝来 (6)  54年間在位。
  • 帝哀 (7)  51年間在位。
    • 節莖  帝哀の子。
    • 克   節莖の子、帝楡罔の父。
  • 帝楡罔(8) 55年間在位。阪泉で敗れ滅亡。

また、飛龍氏、潜龍氏、居龍氏、降龍氏、土龍氏、水龍氏、青龍氏、赤龍氏、白龍氏、黒龍氏(黄龍氏)の氏族が太陽神・神農の子孫として支配したとされるが、当時の「氏」を太古時代のように個人として扱う場合は、10代8帝の帝室と符合する[注釈 3]

その後

阪泉の戦いでの滅亡後、一族は四散したとされるが、これは西に逃れた先[注釈 4]羌族と同化した一族である。伯夷・叔斉については詳しく記録があり、孤竹国の君主となったともされる。

  • 炎居 帝楡罔の子[3]
  • 節並 炎居の子。
  • 戯器 節並の子。
  • 祝融 戯器の子。火事の象徴とされる[注釈 5]
  • 共工 祝融の子。水害の原因とされる[注釈 6]
  • 勾龍 共工の子。
  • 夸父 勾龍の子。
  • 竹猷
  • 亜微 竹猷の子。
  • 伯夷・叔斉 亜微の子。武王克殷に反対し、餓死。

後にこの一族はを姓とした。また、末裔に太公望(呂尚)や呂不韋丞相)がいるともされる。しかし、伯夷・叔斉は墨胎氏の子允(公信)・子致(公達)[注釈 7]とされており、子姓であった事となり、伝承に混乱がみられる。

脚注

注釈

  1. ^ 伝説上は、黄帝炎帝がそれぞれ姫水・姜水のほとりで生まれた兄弟であり、蚩尤と神農氏はともに姜姓であるとされる。
  2. ^ ただし、ここでの炎帝は、後述の通り、神農氏とは限らない。また、黄帝は少典氏出身とされている。
  3. ^ 殷の九陽撃墜神話の初期条件とも酷似しているため、注意が必要である。
  4. ^ 孤竹国の君主であったならば、孤竹国河北省周辺にあったとされるため、北東に逃れた事になる。
  5. ^ 共工と対立していたとされる。
  6. ^ 中華王朝の仮想敵と見做されることが多く、複数の時代にこの名が見られる場合がある。
  7. ^ それぞれ+)という表記である。

出典

  1. ^ 國語
  2. ^ a b c 帝王世紀
  3. ^ 《山海経 海内経》「炎帝之妻,赤水之子聴訞生炎居,炎居生節並,節並生戯器,戯器生祝融,祝融降処于江水,生共工,共工生朮器,朮器首方顛,是覆土壌,以処江水。共工生后土,后土生噎鳴,噎鳴生歳十有二。」

関連項目


神農氏(しんのうし)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/12 07:41 UTC 版)

三獣士」の記事における「神農氏(しんのうし)」の解説

炎帝えんてい)と呼ばれる悟空知り合い医者聖地逐鹿原野住んでいる。昔は医者として人を救うために活動していたが、怪我病気をいくら治しても人の争いなくならず、人を治すのは無駄と悟り、娘の祝融頼んで脳を封印した。名前と人物像由来神農からきている。

※この「神農氏(しんのうし)」の解説は、「三獣士」の解説の一部です。
「神農氏(しんのうし)」を含む「三獣士」の記事については、「三獣士」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「神農氏」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「神農氏」の関連用語

神農氏のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



神農氏のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの神農氏 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの三獣士 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS