示強変数の操作
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/10 23:12 UTC 版)
ルシャトリエの原理において、圧力を加えると、圧力が減少する向きへ平衡が移動する。しかし、圧力を加える際に周囲との熱の出入りがないほど急激に圧縮すると、断熱圧縮によって反応系の温度が上昇してしまう。このとき、圧力と温度の 2 つの変数が変化することになる。しかし、ルシャトリエの原理では 1 つの変数に対する操作に対する性質しか言及されておらず、このままでは平衡が移動する方向は決められない。圧力を操作する際に、断熱圧縮によって生じる温度変化などを無視することができれば、操作の前後で変化する示強変数は圧力のみであるため、ルシャトリエの原理を適用することができる。そのためには圧力を充分ゆっくりと変化させればよい。このことは圧力に限らず一般の示強変数に対しても同様である。 環境の温度を上昇させ反応系へ熱を加えると、ルシャトリエの原理が成り立つために、温度が減少する向きへ平衡が移動する。しかしこのことは、はじめの状態よりも温度が下がった状態で平衡に達するということではなく、加えた熱の一部が反応熱として吸収されるということである。平衡に達したときの反応系の温度は、あくまで環境の温度に等しいことに注意しなければならない。
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