確率的カントール集合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/21 06:57 UTC 版)
「カントール集合」の記事における「確率的カントール集合」の解説
自然界のフラクタルは瞬く間に表れるというよりも、選択の自由を享受するように適度なランダムさを伴いつつ時々刻々と発展していくものである。小区間を等間隔ではなくランダムな間隔で分割するように、カントール集合の構成を修正することを考えよう。ついでに、時間経過を考慮するために、各段階で操作できるすべての区間を分割していたのを、その中の一つのみを分割するようにする。この確率的三進カントール集合の場合は、そのできあがりの集合を以下の遅延方程式 ∂ c ( x , t ) ∂ t = − x 2 2 c ( x , t ) + 2 ∫ x ∞ ( y − x ) c ( y , t ) d y {\displaystyle {\partial c(x,t) \over \partial t}=-{x^{2} \over 2}c(x,t)+2\int _{x}^{\infty }(y-x)c(y,t)\,dy} によって記述できる。また確率的二進カントール集合に対しては ∂ c ( x , t ) ∂ t = − x c ( x , t ) + ( 1 + p ) ∫ x ∞ c ( y , t ) d y {\displaystyle {\partial c(x,t) \over \partial t}=-xc(x,t)+(1+p)\int _{x}^{\infty }c(y,t)\,dy} と書ける。ただし、c(x, t)dx は長さが x から x + dx の間にある区間の数を表している。確率的三進カントール集合のフラクタル次元は 0.5616 {\displaystyle 0.5616} と通常の決定論的三進カントール集合の 0.6309 {\displaystyle 0.6309} より小さい。確率的二進カントール集合の場合、フラクタル次元は p で、これもまた決定論的の場合の ln ( 1 + p ) / ln 2 {\displaystyle \ln(1+p)/\ln 2} より小さい。確率的二進カントール集合の場合における、c(x, t) に対する解は動的スケーリング(英語版)を示し、その解は十分時間を経た極限で t − ( 1 + d f ) e − x t {\textstyle t^{-(1+d_{f})}e^{-xt}} となる。ただし確率的二進カントール集合のフラクタル次元を df = p と置いた。いずれの場合も、三進カントール集合同様に、確率的二進または三進カントール集合の df-次モーメント ( ∫ x d f c ( x , t ) d x = constant {\textstyle \int x^{d_{f}}c(x,t)dx={\text{constant}}} ) は保存量となる。
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