矮星の終焉真雁塒入り
| 作 者 | |
| 季 語 | 雁  | 
| 季 節 | |
| 出 典 | |
| 前 書 | |
| 評 言 |  2011年は、地球規模で大きな災害が数多くあり、大切な人の命が一瞬のうちに失われる現実を突きつけられた。また同じ年、小惑星探査機「はやぶさ」の帰還という大ニュースに日本中が沸き、宇宙からの視座でみた命の尊さに思いを馳せた方も多いのではないかと思う。私自身も「いのち」を考え、その答えを探す途上に放り出されているような、心もとなさの只中にいる。 揚出の句は、石母田星人氏の『膝蓋腱反射』から引いた。まず「矮星」とは耳慣れない言葉。大辞林iphone版によると、「半径が小さく、絶対等級の暗い恒星」とある。太陽系の恒星である太陽は、いずれ地球ぐらいの大きさの白色矮星となり、さてその矮星がその後どうなるのかは……まだわかっていないらしい。 さてこのように科学的な理解は到底及ばない矮星の終焉であるが、真雁の塒入り、あの独特の編隊で夕暮れを行く一日の終わりとの対比が潔癖でうつくしい。2009年の句集発行当時はそのうつくしさに惚れ惚れしたのだが、今年改めてこの一句を目にすると、読み手の心持の変化なのだが、また違った思いが湧いてくる。真雁の塒入りという自然の営み、また明日には新しい朝が来て、新しい一日が始まるのだということの不思議。ものごとの「終わり」は「始まり」へとつながっている。矮星の終焉に、命の始まりへの祈りを感じた。 | 
| 評 者 | |
| 備 考 | 
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