相対誤差の利用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/04 04:43 UTC 版)
相対誤差は、全く異なる大きさの値に対する近似値の精度を比較する場合にしばしば使われる。例を挙げると、真の値が1000であるのに対し近似値を1003と与える場合と、真の値が1000000であるときに近似値を1000003で与える場合とでは、どちらも絶対誤差は3で等しいが、実際には大抵の場合に前者の近似がより意味をなさないことが多い。実際相対誤差を計算してみると、前者が0.003なのに対し後者は0.000003であるから、絶対誤差は同じでも相対誤差は1000倍もの差になるのである。 しかし相対誤差を利用するにあたっては、以下に示す2つの点に注意せねばならない。まず、相対誤差の計算では分母に真の値を用いるから、真の値が0の時には相対誤差を定義できない。第二に、相対誤差は比率尺度(すなわち、ゼロに絶対的な意味がある尺度)の単位を持つ値に対しては意味を持つのだが、そうでない場合の取扱には注意が必要であることである。 例えば、温度を測定した際に絶対誤差が摂氏1℃で、真の温度は摂氏2℃であったとしよう。この場合の相対誤差は定義に従えば0.5 (50%)と計算できる。しかし同じ場合でも温度を絶対温度で計測していた場合、絶対誤差は摂氏の場合と同様に1Kであるが、真の値が275.15Kであるから相対誤差はわずか3.63×10−3 (0.363%)となる。摂氏温度は単に間隔尺度であるのに対し、絶対温度は0Kという真のゼロ点を有するので比率尺度である。したがって、相対誤差を計算するならば絶対温度を用いなければ適切とは言えない。
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