相型分布としての表現
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/07 05:34 UTC 版)
状態 5 は吸収状態であり、吸収までの時間は離散的相型分布(英語版)に従う。系が状態 2 から始まったとする(ベクトルで表すと [ 0 , 1 , 0 , 0 , 0 ] {\displaystyle [0,1,0,0,0]} )。ネズミが死んでしまう状態は平均生存時間に寄与しないから、状態 5 は考えなくてよい。すると初期状態と遷移確率を表す行列は次のように縮小化できる。 τ = [ 0 , 1 , 0 , 0 ] , T = [ 0 0 1 2 0 0 0 1 0 1 4 1 4 0 1 4 0 0 1 2 0 ] {\displaystyle {\boldsymbol {\tau }}=[0,1,0,0],\qquad T={\begin{bmatrix}0&0&{\frac {1}{2}}&0\\0&0&1&0\\{\frac {1}{4}}&{\frac {1}{4}}&0&{\frac {1}{4}}\\0&0&{\frac {1}{2}}&0\end{bmatrix}}} また、 ( I − T ) − 1 1 = [ 2.75 4.5 3.5 2.75 ] {\displaystyle (I-T)^{-1}{\boldsymbol {1}}={\begin{bmatrix}2.75\\4.5\\3.5\\2.75\end{bmatrix}}} ここで I {\displaystyle I} は単位行列、 1 {\displaystyle \mathbf {1} } は全ての成分が1の列ベクトルであり、各状態に対してその状態への遷移確率を合計するはたらきをする。 各ステップで系はどれかの状態をとるから、ネズミの平均生存時間は、系がいずれかの生存状態にある確率を全ての時間にわたって合計したものに等しく(和は行列項級数として考える)、 E [ K ] = τ ( I + T + T 2 + ⋯ ) 1 = τ ( I − T ) − 1 1 = 4.5 {\displaystyle E[K]={\boldsymbol {\tau }}\left(I+T+T^{2}+\cdots \right){\boldsymbol {1}}={\boldsymbol {\tau }}(I-T)^{-1}{\boldsymbol {1}}=4.5} となる。高次のモーメントは E [ K ( K − 1 ) … ( K − n + 1 ) ] = n ! τ ( I − T ) − n T n − 1 1 {\displaystyle E[K(K-1)\dots (K-n+1)]=n!{\boldsymbol {\tau }}(I-{T})^{-n}{T}^{n-1}\mathbf {1} } で与えられる。
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