相互会社の構成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/13 00:46 UTC 版)
相互会社は、相互保険の保険者として保険業を営む便宜上、法人格を付与される。相互会社は、保険業を営む法人にのみ認められる法人の形態である。 相互保険の保険契約者(加入者)は、相互会社の社員(構成員、出資者)となり、総社員の集合体である社員総会が会社の基本的意思決定機関となる。これは、株式会社で言えば株主および株主総会に当たる。社員総会は取締役・監査役を選出し、剰余金の処分案を承認し、定款変更を決するなど、株主総会に関する会社法の規定の多くは、保険業法によって社員総会に準用される。したがって、保険会社に雇用されている者が社員でないことに注意を要する。実際に雇用されている者は職員と呼ばれている。 しかし、株主総会と社員総会の実際の態様は大きく異なる。まず、株式会社の株主数は大会社でも数十万人にとどまるのに対し、相互会社においては社員数が数百万人から1000万人以上にものぼる。そして、株主総会では一株につき一個の議決権が与えられることから、特に発言力の大きな大株主は少数であるのに対し、社員総会では社員に各々一個の議決権が与えられるため、社員間に発言力の差はない。したがって、社員総会で合議することは現実的でないとされている。 そこで、保険業法では、総社員のうちから総代を選出し、総代の合議体である総代会を社員総会に代わる機関として設置することも認めている。総代会を設置した場合、社員には各々一票の選挙権(信任権)が与えられ、総代候補者の中から総代を選出する(総代候補者は、総代候補者選考委員会が選定する。なお、明治安田生命保険においては、総代定数の1割にあたる22人について、地域ブロックごとに社員の立候補を募り抽選で総代候補者を選定している。)。総代選出の社員投票では、社員総会の議決権と同じく一人一票であり、保険の契約高等に応じた選挙権が与えられる訳ではない。取締役、取締役会、代表取締役、および監査役などの機関や特別取締役、指名委員会等設置会社などの制度についても、保険業法により、会社法の株式会社に関する規定が多く準用される。
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