直接語源と究極語源
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 15:35 UTC 版)
言語Bが言語Aからαという語を借用して、βという語にした後、言語Cが言語Bからそのβという語を借用して、γという語にした場合、言語Cの語γの直接語源は言語Bのβという語だが、究極の語源は言語Aの語αである。 また、言語Bが言語Aからα1とα2という形態素を借用し、β1とβ2という形態素として自言語の中に取り込んだ上で、言語Bの中でβ=β1+β2という形の語を新しく作った後、そのβ(=β1+β2)という語を言語Cが借用し、γ(=γ1+γ2)という語として取り込んだ場合、言語Cの単語γの究極語源は言語Bの単語βだが、γという語を構成する形態素γ1、γ2まで分解すると、その究極の語源は言語Aの形態素α1、α2である。 このような事例は、言語Cにとっての単語借用元となる言語Bが、すでに他の言語である言語Aから大量の語や形態素を借用している場合に起こりうる。このような言語Bの主なモデルとしては、日本語・朝鮮語・ベトナム語(中国語から)やトルコ語・ペルシア語(アラビア語から)、英語(ラテン語から)等がある。 例を示すと、次のようになる。言語A=中国語、言語B=日本語、言語C=英語とし、β=美少女(びしょうじょ)とする。β=美少女(びしょうじょ)は日本語内部で造語された単語であるが、この単語をさらに分解するとβ=β1+β2+β3、β1=美(び)、β2=少(しょう)、β3=女(じょ)であり単語を構成する形態素β1、β2、β3はそれぞれ、中国語の形態素α1=美(現代北京語mĕi)、α2=少(現代北京語shào)、α3=女(現代北京語nǚ)に由来する。そしてこのβ=美少女(びしょうじょ)という単語は英語に借用され、γ=Bishōjoという英単語となった。このγ=Bishōjoという単語を形態素レベルに分解すると、γ=γ1+γ2+γ3、γ1=bi、γ2=shō、γ3=joとなる。この場合、英単語γ=Bishōjoの究極語源は、直接語源と同じく日本語の単語β=美少女(びしょうじょ)であるが、その形態素レベルで考えると、形態素γ1=bi、γ2=shō、γ3=joは直接語源としては日本語の形態素β1=美(び)、β2=少(しょう)、β3=女(じょ)にそれぞれさかのぼっても、究極語源としては中国語の形態素α1=美(現代北京語mĕi)、α2=少(現代北京語shào)、α3=女(現代北京語nǚ)にそれぞれ由来する。
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