発見および命名の歴史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 09:10 UTC 版)
「アブシシン酸」の記事における「発見および命名の歴史」の解説
植物の休眠・生長抑制物質に関する研究は1950年代から1960年代にかけて精力的に行われた。1961年、LiuとCarnsはワタの葉柄から単離した落葉促進物質をabscission(葉などの離脱)にちなみ「アブシシン (abscisin)」と命名した。1963年には大熊和彦らがワタ未熟果実から同様の物質を単離し「アブシシンII (abscisin II)」と命名した。同じく1963年に、イーグルス (Eagles) とウェアイング (Wareing) は、ヨーロッパダケカンバ (Betula pubescens) に含まれる出芽休眠物質を「ドルミン(dormin)」(休眠 dormancy にちなむ)と命名した。 1965年に、アブシシンIIの構造がアディコット (Addicott) らによって提唱され、同年にコーンフォース (Cornforth) らは、カエデ葉からドルミンを単離し、構造解析および全合成によってアブシシンIIと同一物質であることを明らかにした。絶対立体配置はコーンフォースらによって1967年に決定された。 名称の混用を避けるために、1967年の第6回国際植物生長物質会議 (IPGSA) において、化合物名を「Abscisic acid(アブシシン酸)」、略称を「ABA」と統一することとなった。 なお、現在では、正式な日本語表記は「アブシシン酸」であるとされているが、「アブシジン酸」「アブサイシン酸」と呼ばれることも依然として多くある。
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