界の見直しの歴史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/28 20:46 UTC 版)
このような問題を解決するために界の枠組みを変えることが考えられた。その最も古いものはジョン・ホッグによるもので、彼は界としてではないが、そのような下等なものをまとめてプロトクチスタ(Protoctista)と呼ぶことを提唱した(1860)。また、ヘッケルはそれらをプロチスタ界として区別することを提案した(1866)。 但し、この下等生物の界に含まれる生物の範囲に関しては、さまざまな違いがあった。最も狭く取った場合、そこには単細胞生物のみが含まれ、広く取った場合、多細胞であっても組織化の程度が低いものをも含めた。ヘッケルの場合、当初は海綿動物や菌類も含めたが、後に単細胞生物に範囲を狭めた。 原核生物に関しては、当初はそれが重要な問題とは認識されず、ヘッケルもそれらを彼のプロチスタ界に含めている。しかし、細胞内の構造、特に微細構造が明らかになるにつれてそれが極めて大きな差であると見なされるようになり、これを分けることが検討されるようになった。 もう一つの問題が菌類である。原生生物や原核生物を区別するとすれば、動物と植物の二元論にこだわる必要はない。また、菌類が藻類に起源を持つとの説もあったが、次第に認められなくなった。そのため、菌類を独立の生物群と見なす例が出てきた。あるいは、組織の形成が菌類では見られないことから、これをプロチスタ界に入れる例も出た。 たとえばコープランドは1938年以降何度か界の枠組みを発表したが、そこでは原核生物、プロトクチスタ、植物、動物の四界説が唱えられた。これに対してもさまざまな議論があった。
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