男の旅 岬の端に佇つために
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評 言 |
第三句集『晩春』(昭和42年刊)所収。 この句は、伊豆石廊崎での作。伊豆半島南端の岬である。 この句集の末尾に、楠本憲吉の<『晩春』の句>と題する解説が付され、その中に、村野四郎の観賞を引用している。 「あの人は、ひとり岬の突端に立って、あちら向きに、じっと何かを見ている。 とても寂しそうな姿だが、そうした茫漠な孤独に会いたいばかりに旅に来たとでもいうようだ。 あれが男の旅というものだろうか。 あれが男の寂寥というものだろうか。」(『秀句観賞十二ヶ月』) この句の表記の上で、「男の旅」の次の<一字あき>は、<男の旅というものの本質は><男の旅というものの真実は>という主題を提示する働きを示している。 常凡的に言えば、男は生涯、金と名誉を求めて奔走することが多い。出世主義におち入り易い。 「岬の端に佇つ」手段を目的と思い込む「男の旅」にひそんでいる想念が、この句の主題である。 「男の旅」を通して、人間存在の<弧愁>を発見した時、この句の観賞が成立する。 |
評 者 |
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備 考 |
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