物権行為の独自性に関する論点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 22:44 UTC 版)
「物権変動」の記事における「物権行為の独自性に関する論点」の解説
民法第176条の「意思表示」が債権的意思表示を指しているのか、それとも債権的意思表示とは別個に必要とされる物権的意思表示を必要とするのかは必ずしも明らかではない。日本の民法の解釈においても、民法第176条の「意思表示」とは物権的意思表示を指すもので債権的意思表示とは別個に必要とされると解する少数説(物権行為独自性肯定説)があるが、通説・判例は民法第176条の「意思表示」とは債権的意思表示でありこれによって物権変動も生じるのであり別個の物権的意思表示は不要であると解している(物権行為独自性否定説)。民法176条の「意思表示」を債権契約とは別個の物権変動を目的とする物権的合意と解することは、ドイツ法のように物権の成立に法定の方式を必要とする立法のもとでは意味があるが、日本の法制のようにいずれにしても物権の成立のために何ら方式を要求しない立法のもとでは意味がなく無用の理論構成であると解されるためである。民法制定作業の沿革からは176条はフランス法の系統を引くものとされ判例は物権行為の独自性を否定している。学説も当初そのように解釈していたが、明治末期に独自性の支持に移り、大正末期から再び判例を支持するに至っている。
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