照井翠とは? わかりやすく解説

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照井翠

照井翠の俳句

ありしことみな陽炎のうへのこと
しら梅の泥を破りて咲きにけり
すすきに穂やうやく出でし涙かな
つばくらめ日に日に死臭濃くなりぬ
なぜみちのくなぜ三・一一なぜに君
なぜ生きるこれだけ神に叱られて
ひとひらの雪となるまで祈りけり
ふるさとを取り戻しゆく桜かな
ほととぎす最後は空があるお前
もう何処に立ちても見ゆる春の海
アテルイのづぶりと沈むやませかな
三・一一神はゐないかとても小さい
不如帰幹に架けあるおぶひ紐
亡き娘らの真夜来て遊ぶ雛まつり
人類の代受苦の枯向日葵
八月の水平線の人柱
初螢やうやく逢ひに来てくれた
割るる線うすうす見ゆる通草かな
半身の沈みしままや十三夜
卒業す泉下にはいと返事して
双子なら同じ死顔桃の花
同じ日を刻める塔婆墓参
唇を嚙み切りて咲く椿かな
喪へばうしなふほどに降る雪よ
墓に水掛けて呼びたる黒揚羽
夕暮れの核分裂の稲雀
大南瓜布告の如く置かれをり
大花火蘇りては果てにけり
太々と無住の村の青氷柱
女らの来て牡丹の緋の眩し
寒昴たれも誰かのただひとり
寒月に首刎ねられてゐたりけり
屋根のみとなりたる家や菖蒲葺く
廃屋の影そのままに移る月
恋猫にだらりの帯のありにけり
揚羽蝶磁場に乱れのありにけり
撃たれんと一頭の鹿澄みきりぬ
春の星こんなに人が死んだのか
春の海髪一本も見つからぬ
春昼の冷蔵庫より黒き汁
朧夜の泥の封ぜし黒ピアノ
柿ばかり灯れる村となりにけり
桃の花狂女の含む金平糖
死にもせぬ芒の海に入りにけり
毛布被り孤島となりて泣きにけり
気の狂れし人笑ひゐる春の橋
水芭蕉低く響ける嬥歌うた
汲みたての水の匂ひや蛇の衣
泥の底繭のごとくに嬰と母
津波より生きて還るや黒き尿
 

照井翠

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/25 07:54 UTC 版)

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照井 翠(てるい みどり、1962年(昭和37年)9月7日 - )は、岩手県花巻市出身の俳人岩手県北上市在住。岩手県内の高校で長く国語教師を務める。現在「寒雷」「草笛」同人、現代俳句協会会員[1]東日本大震災では、岩手県立釜石高校で被災、1ヶ月間体育館と合宿所で生活した[2]

来歴

1990年、「寒雷」に入会し加藤楸邨に師事。同年「草笛」に入会。1993年「草笛」同人。1996年「草笛」新人賞、「寒雷」同人。2001年「草笛賞」優秀賞。2002年、第20回現代俳句新人賞[3]

2011年、岩手県釜石市で東日本大震災により被災。2013年、第5句集『龍宮』により第12回俳句四季大賞および第68回現代俳句協会賞特別賞を受賞[4]。『龍宮』は震災に直面して以降の句を中心とした句集で、「双子なら同じ死顔桃の花」「寒昴たれも誰かのただひとり」などの句を収めている。朝日新聞天声人語[5]NHK[6]などにも取り上げられ、高野ムツオの震災句集『萬の翅』とともに俳壇の内外で話題となる。蛇笏賞の候補にもなった[7]。 2019年、エッセイ集『釜石の風』により第15回日本詩歌句筆評論大賞 随筆評論部門奨励賞を受賞[8]

句集

エッセイ集

脚注

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参考文献

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