波数ベクトル状態密度(球)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/12/09 20:03 UTC 版)
「状態密度」の記事における「波数ベクトル状態密度(球)」の解説
DOS を計算するにはまずある k に対して波数空間上の領域 [k, k+dk] 内に含まれる状態数 N を数える必要がある。これは、ある k に対する n 次元波数空間全体の体積 Ωn, k を k で微分することで得られる。三次元、二次元、一次元波数空間の体積、面積、長さは次のように表わされる。 Ω n ( k ) = c n k n {\displaystyle \Omega _{n}(k)=c_{n}k^{n}} ここで、 cn は波数空間の次元 n に依存して位相幾何学的に定まる定数で、一次元、二次元、三次元ユークリッド波数空間に対してはそれぞれ以下のように定まる。 c 1 = 2 , c 2 = π , c 3 = 4 π 3 {\displaystyle c_{1}=2,\quad c_{2}=\pi ,\quad c_{3}={\frac {4\pi }{3}}} この式によれば、波数ベクトル状態密度 N は Ωn, k を k で微分することにより次のように得られる。 N n ( k ) = d Ω n ( k ) d k = n c n k ( n − 1 ) {\displaystyle N_{n}(k)={\frac {\mathrm {d} \Omega _{n}(k)}{\mathrm {d} k}}=n\,c_{n}\,k^{(n-1)}} これを一次元、二次元、三次元の場合に明示的に書き下すと次のようになる。 N 1 ( k ) = 2 {\displaystyle N_{1}(k)=2} N 2 ( k ) = 2 π k {\displaystyle N_{2}(k)=2\pi k} N 3 ( k ) = 4 π k 2 {\displaystyle N_{3}(k)=4\pi k^{2}} 一つの状態は波長 λJ の粒子を含むことができる程度に大きい。波長と波数 k との間の関係式は以下のようになる。 k = 2 π λ {\displaystyle k={\frac {2\pi }{\lambda }}} 長さ λ の量子系は粒子を閉じ込める系の大きさ L に依存する。最後に、状態密度 N に係数 s/Vk をかける。ここで、s はスピンや偏極などの物理現象に起因する内部自由度である。このような物理現象が無い場合は s=1 となる。Vk は波数空間上の、ある k よりも小さい波数ベクトルを全て含む体積である。
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