法理の位置づけ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/18 09:07 UTC 版)
法人格否認の法理の機能する場面は従来は法人成りしたばかりの個人企業といったいわゆる小規模閉鎖会社における問題がほとんどであった。平成2年改正により、商法に最低資本金制度が導入されたことから、法人格否認の法理の適用事例が減少するのでは、という見込みがなされたことがある。ところが、平成17年の会社法においては、最低資本金制度が廃止されるなど、会社債権者の保護を目的とする法制度が従来より手薄くなることになった。 最低資本金など従来の会社債権者保護制度の代わりとして法人格否認の法理の積極的活用を期待する見解がある一方、法人格否認の法理は一般条項から導き出された法理であるため法的安定性の見地からかんがみてなるべく適用を避けるべきで、まずは契約の条項や弾力的解釈による解決を目指し、それでは解決が困難な場合に適用する「最後の砦」としての位置づけ見解もある(例えば、取締役の責任を追及する場合には、まずは取締役の第三者責任の条項に照らし合わせてから考えるべきであるとする)。 また、近年では法人格否認の法理の適用場面は親子会社間の問題についてまで拡張している。
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