沢庵和尚の実験
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/08 21:12 UTC 版)
日本で初めて空気の存在を科学的に証明する実験を示したのは、江戸時代初期の禅宗僧の沢庵和尚(1573-1645)である。沢庵は『理学之捷径(りがくのしょうけい)』(1621)の中で、「気は形なけれども歴々としてあるしるしには、気が動けば風が吹くなり。人の強く走りて気が動けば、息は強くなるごとくなり」などと、空気の存在を説明した後、「桶の底におき(火がついた炭)を糊にてつけて、これを水の上に伏せて、まっすぐに水の中に押し込むに、桶の内に水いらずして、火が消えざるなり。これは桶の内にも気がいっぱい満ちてある故に、内がふさがりて水の入るべきところなく、桶の内は何もなく空なれど、気のある証拠なり」という実験を示した。 沢庵は「日本で最初の空気の存在を証明した実験」を行ったが、沢庵は戦国末期から江戸時代初期の堺や京都で活動していた多数のキリスト教宣教師からアリストテレスの自然学の講釈を知り、自分の説教に利用したと考えられる。 沢庵は『東海夜話』(1859)の中で竹鉄砲という紙玉鉄砲のおもちゃを紹介しているが、その飛ぶ理由として「先の玉と後の玉の間は空なれども、その間には気が満ちてあるゆえなり」と書いている。 沢庵は終始、「気」という言葉を用いているが、それは儒学の理気論でいう「気」一般の実在を証明したかったからである。沢庵はそれらの「気」と空気の同一性を証明したかったので「気」以外の言葉を考えることは全く無かった。
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