正規部分群と準同型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/12 16:34 UTC 版)
N が G の正規部分群ならば、剰余類の間の乗法を (a1N)(a2N) := (a1a2)N によって定義することができる。これにより、剰余類の全体を剰余群 G/N とよばれる群とすることができる。群 G と剰余群 G/N との間には、π(a) := aN で定義される(射影、あるいは商写像と呼ばれる)自然な全射準同型 π: G → G/N が存在する。自然な準同型 π による N の像 π(N) は、G/N の単位元である剰余類 eN = N のみを含む一元集合 {N} である。 一般に、準同型 f: G → H は G の部分群を H の部分群に写す。また、H の任意の部分群の原像(逆像)は G の部分群となる。H の自明な部分群 {e} の準同型 f による逆像 f−1({e}) を、準同型 f の核と言い、記号 ker(f) で表す。さらに、核はつねに正規部分群であり、G の像 f(G) と、商群 G/ker(f) はつねに同型である(第一同型定理を参照)。実は、この同型対応は G の剰余群全体の成す集合と G の準同型像の同型類全体の成す集合との間の全単射を与えている。これと、商写像 f: G → G/N の核が N それ自身であることはすぐにわかるから、まとめると G の正規部分群はすべて G を定義域とするなんらかの群準同型の核として得られることが示せる。
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