森忠右衛門とは? わかりやすく解説

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森忠右衛門

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/08 01:32 UTC 版)

 
森 忠右衛門
時代 江戸時代中期
生誕 不明
死没 安永7年(1778年[1]
別名 小八郎、島之助[1]
戒名 玄忠[2]
幕府 江戸幕府 小姓組[1]
主君 徳川吉宗家重家治[1]
氏族 藤姓毛利氏[3]
父母 父:図司末親[4]
養父:森小三郎[1]
兄弟 弥八郎、図司晃本、森小三郎の妻、忠右衛門、日根正芳の妻、図司末済の妻[5]
柘植正富の娘[6][1]
勝与[注釈 1][6][1]
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森 忠右衛門(もり ちゅうえもん)は、江戸時代中期の武士旗本

経歴

広敷番頭・広敷用人を歴任した図司末親の三男として生まれ、姉婿・森小三郎の養子となる。養家の森氏は佐伯藩毛利氏と同族で、佐伯藩祖毛利高政の弟・吉安を祖とする家柄である。寛保2年(1742年小姓組だった養父が33歳で死去すると家督を継承、知行600石。延享2年(1745年)から小姓組を勤める[7][4]

忠右衛門は札差を始め、盲人・浪人が営む高利貸しによる多額の負債を抱えていた。そのため一時は自害を図ろうとしたものの子の勝与[注釈 1]の説得を受け、安永7年(1778年7月30日、忠右衛門は自らの妻[注釈 2]、勝与とその妻[注釈 3]の3人とともに突如として逐電した。一同は忠右衛門の従弟[注釈 4]が住職を務める唯念寺領に逃れ、忠右衛門は菩提寺の寿蓮寺で出家、医師に身代を改めた。しかしこの時、幕医・須磨良川が盗賊騒ぎを起こして捕らえられるという事件が発生。忠右衛門はその一味であると疑われることを恐れ、8月24日に勝与を帯同して上役の小姓組番頭・森川俊清の元へ出頭した[9][10][2][11][1]

町奉行の取り調べによって忠右衛門の出奔理由が明らかとなり、また同時に盲人・浪人による法外な高利貸しの実態に光が当てれらた。これにより幕府は江戸随一の富豪として知られた鳥山検校・名護屋検校ら当道座検校らや金貸し浪人らを捕らえ、浪人は追放、検校らは当道座の座法によってそれぞれ解官・追放・財産没収という処分が下されることとなった[12][10][13]

忠右衛門は出頭、入牢の後ほどなく病死した[1]。忠右衛門は学問をよくし、また達筆でもあった。そのため世人は「学問も役に立たないものだ」と噂したという[14]。同年11月、子の勝与が逐電の罪を問われ追放刑に、匿った唯念寺住持は追放、寿蓮寺住持は闕所の上追放。義弟・図司末済[注釈 5]は一時出仕停止となった(翌年解除)[13][1][4]。妻の柘植氏と勝与の妻・杉原氏は実家へ戻った[6]

脚注

注釈

  1. ^ a b 通称は震太郎[1]喜多村信節による随筆『過眼録』は虎太郎とする[2]
  2. ^ 柘植氏小普請・柘植正富の娘。当初河野通哲に嫁いだが、離婚後に忠右衛門と再婚していた[6]
  3. ^ 杉原氏大番頭・杉原正芳の娘、あるいは大番・杉原正英の娘(正芳は正英の曾祖父の弟にあたる)[8][1]
  4. ^ 実父・図司末親の姉妹が唯念寺清寿に嫁いでいる[4]
  5. ^ 忠右衛門の妹を娶り婿養子として当時の図司家を継承していた[4]

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l 『寛政重修諸家譜』17, p. 214.
  2. ^ a b c 中山 1985, p. 190.
  3. ^ 『寛政重修諸家譜』17, pp. 251–257.
  4. ^ a b c d e 『寛政重修諸家譜』17, p. 256.
  5. ^ 『寛政重修諸家譜』17, pp. 256–257.
  6. ^ a b c d 『寛政重修諸家譜』8, p. 230.
  7. ^ 『寛政重修諸家譜』17, pp. 213–214.
  8. ^ 『寛政重修諸家譜』8, pp. 285–287.
  9. ^ 高橋 1976, p. 43.
  10. ^ a b 頼 1987, p. 235.
  11. ^ 中山 1985, pp. 207–208.
  12. ^ 高橋 1976, p. 45.
  13. ^ a b 中山 1985, p. 208.
  14. ^ 『新燕石十種』, p. 160.

参考文献




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