未完成発明と明細書記載不備の位置づけ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 09:09 UTC 版)
「未完成発明」の記事における「未完成発明と明細書記載不備の位置づけ」の解説
特許法第36条は、特許出願の願書には明細書を添付しなくてはならず、明細書には「発明の詳細な説明」として「その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載」しなくてはならないと定める。 したがって、出願審査において、次の二つの拒絶理由が区別されていた: 明細書記載不備(開示不十分) 明細書に「その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載」されておらず、特許法第36条第4項第1号の要件を満たしていない。 発明未完成 出願された内容が「当該の技術分野における通常の知識を有する者が反復実施して目的とする技術効果を挙げることができる程度にまで具体的・客観的なものとして構成されて」いないために、発明として完成しておらず、特許法29条1項柱書にいう「発明」にあたらない。 明細書記載不備は、発明が完成されていることを前提として、特許出願の手続き上の書面の記載が不十分であるということにすぎないのだから、補正によって不備を補うことができ、それによって特許を受けることができる場合がある。補正は遡及効を持つため、補正した場合であっても、補正前の出願日を基準に新規性、進歩性、他の出願との先後関係などが判断される。 これに対して、未完成発明の場合は、特許を受けようとする対象が発明として完成していないのだから、出願書類の記載の不備の問題ではなく、瑕疵を補う余地はなく、特許を受けることができない。完成させればあらためて出願することはできるが、他の出願との先後関係などの判断は、その完成させてからの出願の日が基準となる。
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