最大限に拡張されたシュヴァルツシルト解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/27 16:23 UTC 版)
「クルスカル・スゼッケル座標系」の記事における「最大限に拡張されたシュヴァルツシルト解」の解説
シュヴァルツシルト座標系とクルスカル・スゼッケル座標系の変換はr > 0, r ≠ 2GM, かつ −∞ < t < ∞で定義される。その範囲において、シュヴァルツシルト座標系は意味を成す。しかしながら、座標系 (T , R ) は物理的な特異点を除いたすべての値に対して拡張することが可能である。許される値は − ∞ < R < ∞ {\displaystyle -\infty <R<\infty \,} T 2 − R 2 < 1 {\displaystyle T^{2}-R^{2}<1\,} である。最大限に拡張された解について、r = 0 の点に確かに二つの特異点がある。一つは正のT でもう一つは負のT である。負のT の特異点は、時間が逆方向へ向かうブラックホールであり、ホワイトホールと呼ばれる。粒子はホワイトホールから逃げることが出来るが決して戻ることはできない。 最大限に拡張されたシュヴァルツシルト幾何学はそれぞれシュヴァルツシルト座標系で適応することが可能な四つの領域に分かれる。クルスカル・スゼッケル座標系は一方で全体の時空多様体を含む。四つの領域は事象の地平線により分けられる。 I外部領域 T 2 − R 2 < 0 {\displaystyle T^{2}-R^{2}<0} and R > 0 {\displaystyle R>0} 2 G M < r {\displaystyle 2GM<r} IIブラックホール内部 0 < T 2 − R 2 < 1 {\displaystyle 0<T^{2}-R^{2}<1} and T > 0 {\displaystyle T>0} 0 < r < 2 G M {\displaystyle 0<r<2GM} III平行な外部領域 T 2 − R 2 < 0 {\displaystyle T^{2}-R^{2}<0} and R < 0 {\displaystyle R<0} 2 G M < r {\displaystyle 2GM<r} IVホワイトホール内部 0 < T 2 − R 2 < 1 {\displaystyle 0<T^{2}-R^{2}<1} and T < 0 {\displaystyle T<0} 0 < r < 2 G M {\displaystyle 0<r<2GM} シュヴァルツシルト座標系の時間t は次の式で与えられる。 tanh ( t 4 G M ) = { T / R (in I and III) R / T (in II and IV) {\displaystyle \tanh \left({\frac {t}{4GM}}\right)={\begin{cases}T/R&{\mbox{(in I and III)}}\\R/T&{\mbox{(in II and IV)}}\end{cases}}} それぞれの領域においてt は −∞ から +∞ に変化し、事象の地平線で無限となる。
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