日本の政官関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/03/08 15:11 UTC 版)
「プリンシパル=エージェント理論」の記事における「日本の政官関係」の解説
たとえばJ・マーク・ラムザイヤーとフランシス・ローゼンブルースは、日本の政官関係について、以下の手段を通じて政治家は官僚を有効に統制していると論じた。 官僚が作成した法案に対する拒否権官僚が作成した法案は、与党の政務調査会などで事前審査に付される。もし官僚が与党の政策選好に反する法案を作成したとしても、与党はその法案を事前審査で了承しない。このため、予測的対応により、そもそも官僚は与党の政策選好の範囲内でしか法案を作成しない。 戦後の日本政治は、議院内閣制の下で自民党の一党優位体制が安定していたため、行政責任のジレンマはほとんど問題とならなかった。 官僚の人事への介入官僚の在任中の人事に政治家が介入することは多くないが、その昇進を阻むことで、政治家の政策選好に従わない官僚に制裁を加えることができる。 官僚の在任中の給与は相対的に安価であるが、退職後の天下り先での高額な給与や退職金によって埋め合わせることができる。しかし、政治家は官僚の天下りに対しても横槍を入れることが可能である。よって、天下りは前述のインセンティブ契約に似た機能を発揮する。 「火災報知器型」の監視有権者や利益団体からの陳情から、官僚の逸脱行為を把握する。 将来、与党議員へ転身することを考えている官僚に、自分の省庁の逸脱行為を密告させる。 省庁間の競争関係を利用して、ある省庁の逸脱行為に関する情報を他の省庁から入手する。
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