日付のない夜と朝
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/24 14:24 UTC 版)
「刺青の男 (小説)」の記事における「日付のない夜と朝」の解説
ロケットが地球から10億マイルのところを飛んでいた。ヒチコックは神経質になっていた。自分がどこにいるか、地球とは何か分からなくなった。彼は見えるものしか信じられないのだった。彼は地球などないと言い張った。クレメンズがヒチコックに、ロケットに乗った理由を尋ねると、上も下もない中間の世界に行きたかったのだと答えた。子供のころの話を聞くと、子供の頃なんてない、生きているのは今の俺だけだ、と答えた。彼は、ときどき自分以外のなにも信じられなくなる、と言った。そして、ロケットに2階があるか不安になり、確かめに行くのだった。乗組員たちが心配して、医者に診て貰うように勧めた。ヒチコックは、今この瞬間に、医者が乗っていることが証明できないと答えた。彼は物理的な証明ではなく、精神的な証明を渇望しているのだ、と言った。彼はかつて作家になろうとしていた。しかし印刷された自分の名前をみて、自分が小説を書いたということが分からなくなったのだという。存在していることと、していないこととのギャップが埋められなかったのだ。流星が衝突した。ヒチコックは、「おれを殺しに来た」と叫んだ。医者は一時間以内にショック療法をやることに決めた。12時間後、鐘が鳴った。1 - 2分目を離した隙に、ヒチコックは宇宙服を着てエア・ロックから飛び出したのだ。発見は不可能だった。無線から声が聞こえた「なんにもない。初めから、なかった。空間だけだ。ギャップだけだ」
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