文学のカラオケ化とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 文学のカラオケ化の意味・解説 

文学のカラオケ化

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/16 03:04 UTC 版)

文学のカラオケ化(ぶんがくのカラオケか)は、文芸評論家斎藤美奈子が現在の文学の状況を形容するために生んだ造語。現代の文学が、単なる“消費”のみならず“参加”(=文学作品の創出)も平行して行われている点に着目したもの。

また、カラオケと同様に“歌を歌うこと”(=文学作品をつくること)は好きでも“歌を聴くこと”(=文学作品を読むこと)を忌避する傾向を指していることもある。

概略

カラオケが登場したことによって、が単に聴くものから、“聴く”と“歌う”が同時並行に行える代物となり、素人でも音楽への参加が容易となった。

文学もカラオケと同様に、文学をただ“読む”だけでなく、“読む”と“書く”(=文学作品を生み出す)が同時に行えるようになった。いわば、「文学の“消費”から“創作への参加”」という流れと見ることもできる。近年、出版社文芸雑誌主催の文学賞への投稿の増加や、自費出版の増加、ブログに見出されるような個人による文学の発信が可能になったことなどにも一種の「文学のカラオケ化」の徴候を見ることができる。

ただし、このような流れは文学に限らず音楽もさることながら、漫画絵画同人誌などにおける)、はたまた自主制作映画同人アニメ写真におけるガーリーフォトにも存在する。いわば、文化が広まり、技術が進歩した際には往々にして生じるものであって、文学固有の現象ではない。

「文学のカラオケ化」に対する批判や危惧

文学のカラオケ化は必ずしも否定的な意味をこめて語られたものではないが、文学シーン(とりわけ、文壇)で歓迎されているわけではなく、こうした流れを批判したり危惧したりする意見も多い。

  • 従来なら文学とは言えないような作品が増えた。
  • 文学にきちんと触れた経験のない者が、文学を書くようになり作品の劣化を招いた。
  • 文学作品が粗製濫造されるようになった。
  • 読者に迎合したような作品が増えた。
  • 読者偏重主義からいたずらに「若さ」や「目新しさ」を重視した作家や作品が増えた。

といったものが、挙げられる。

関連項目




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「文学のカラオケ化」の関連用語

文学のカラオケ化のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



文学のカラオケ化のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの文学のカラオケ化 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS