携帯可能な小型本
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/05 14:12 UTC 版)
マヌティウスは、手動または小型の手持ち武器を意味する「エンキリディオン(en:wikt:enchiridion)」という用語を使用して、携帯可能な八折り版サイズの小型本を製作した。細く小さな活字の発明が、本の小型化を可能にしたのである。小型の本はそれまでにも宗教関係者の間でミサに携行するために使用されるなどしていたが、一般読者向けに持ち運び可能な小型本を刊行したのはアルド印刷所が最初であった。アルド印刷所が製作したこうした新しい携帯用の本は決して安価ではなかったとはいえ、この時代に大量のテキストや注釈(註解)書を購入するのに必要とされたような多額の投資は不要であった。 アルド印刷所が出版をはじめた小型本の普及により、読者はそれまでのように書見台の置かれた部屋へ赴いて大きく重い本のページを繰るのではなく、小さく軽い本を各々が移動する先へ持ち運ぶことができるようになっていった。人間はもはや本のもとへ「行く」のではなく、本が人間と一緒に「やって来る」ようになったのである。
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