捕食以外の殺害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/16 02:57 UTC 版)
栄養摂取以外の目的で他者を殺す場合もある。たとえば同種内で争いがある場合や、他種から攻撃された場合である。しかし、多くの場合には相手を殺すには至らない。稀な例としてキリンがライオンを蹴殺したりといったケースも見られるが、これはどちらかというとキリンの自己防衛中の偶発的事故に過ぎないとみられる。 自己防衛では多くの場合に、その目的を達するのに相手を殺す必要がないこと、相手を殺すためには、相手を逃亡させるより多くの労力と危険があることから、それに至らずに決着をつけられるケースも多い。また攻撃して撃退される捕食側も、殺されるまでその場に踏みとどまるだけのリスクを負う意味が無く、攻撃して反撃されにくい個体(幼体や病気・高齢など)を狙う様式も発達している。 なお生物には、逃避や威嚇の行動や儀礼的な攻撃の様式が発達したと見られる場合もあるが、社会性昆虫では個体を犠牲にしても群れを守る行動が発達する。この場合には、防衛側・攻撃側の双方で、相手勢力の行動が継続不能になるまで続けられるため、個体間では相手を殺すまで戦う例が多く見られる。 この「逃避 / 威嚇 / 儀礼的攻撃」と「相手勢力を殲滅する」という二系統の様式は、しばしば人間の社会でも戦争という形で見出される。小規模な合戦や、それ未満のレベルでは双方の大将の生死ないし双方の政治的やり取りによって勝敗が決したことから前者的な戦争の様式であったが、古代中国や第一次世界大戦以降の戦争では、拠り巨視的なレベルで勝敗が決するため、主に後者の戦争の様式が顕著である。
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