指切断事故
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/11 03:40 UTC 版)
アイオミの右手の中指と薬指は、板金工時代の事故で先端部分が失われている。アイオミは工場で鉄板をプレス係に送り出す役目であった。その工場を退職するちょうどその日はたまたまプレス工が無断欠勤しており、アイオミがプレス係と送り出す役を兼務する羽目になった。兼務は大変な上にプレス作業に慣れていなかったため機械のスピードについていけず、アイオミはあやまってプレス機械に手を入れてしまい、指を切断してしまった。左利きのため右手指で押弦を行うアイオミには致命的な事故であった。工場の監督がアイオミを励ますためにベルギー人ギタリスト、ジャンゴ・ラインハルトのアルバムを聞かせた。ジャンゴも火災事故で左手の薬指と小指が動かなくなったものの、そのハンディを乗り越えてギタリストとして活躍していた。彼の存在と、監督の「これ、凄いプレイだろ。実はこの人も指が不自由だったんだ。それでもこんなプレイが出来るんだ。だから君も夢を諦めるなよ」という言葉に励まされたアイオミは奮起し、右手の指の先端に洗剤のプラスチック容器を溶かして作ったチップをはめて、そのハンディを克服した。さらにギターの弦のテンションを極限まで下げ、わずかな力でも弦を押さえられるようにした。これにより、アイオミのギターは音が低く、潰れたような特徴的なサウンドとなり、その音色は後に様々なヘヴィメタルのギタリストに影響を与えた。
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