影が隠される効果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/19 09:05 UTC 版)
衝効果が起きる原因の一つと考えられているのが、影が隠される効果 (shadow hiding) である。物体表面の反射光の角度が入射光の角度に近い時 (観測者から見て、太陽と観測対象の天体が衝の位置に近い時)、一般に本質的な明るさは最大になる。位相角がゼロの場合、全ての影は消え去り天体表面は完全に照らされている状態になる。位相角がゼロに近付くにつれて見かけの明るさが急激に上昇し、この増光が衝効果として観測される。 この効果は太陽系内の、大気を持たずレゴリスに覆われた天体において特に顕著に現れる。この効果の主要な原因は、他の入射角で太陽光が当たっている時には観測者からは影として見えていたであろう細孔や穴が、観測者のほぼ真後ろからの太陽光が当たっている状態では照らされて明るく見えるようになることである。一般にこの効果は、位相角がゼロに近い非常に狭い範囲でのみ発生する。表面での反射特性が定量的に判明している天体の場合、衝効果による増光の大きさやその位相角依存性は、Hapke parameters(英語版)と呼ばれる反射特性を表したパラメータのうち2つを使って記述できる。 この説明は、元々は土星が衝に近い時に土星の環がとりわけ明るく見える現象を説明するために、1887年にフーゴ・フォン・ゼーリガーによって初めて提案されたものである。土星の環など惑星の環の場合は、位相角が小さい時には環の粒子の影が見えなくなることによって明るさが増し、衝効果として観測される。
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