彫り進み木版画
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/08 06:38 UTC 版)
『彫り進み版画』とも言う。1枚の版木を少しずつ彫っては異なる色のインクを載せて刷っていくことにより、多色刷りにしていく手法である。『版木に下書きをする』までは普通の一版多色刷りと同じであるが、後行程は下記のように異なる。 まず、紙の色(普通は白)を残したい所を彫る。 1色めの色インクをローラーで版木に載せ、刷る。 版木についたインクを洗って落とし、水分を取る。 1色めの色を残したい所を彫る。 2色めの色インクを版木に載せ、2で刷った紙を載せ、刷る。 以後同様に「前の色を残したい所を彫り」「新しい色を載せて刷る」工程を繰り返し、作品を完成させる。刷るときは絵柄がずれないように、用紙を机に置き、インクを載せた版木を上から伏せ(普通の版画では版木の上に紙を伏せる)、軽くなじませてから裏返し、ばれんでこすって刷り取る。どれほど注意深く作業しても多少は絵柄がずれるのであるが、それによってできる陰影がかえって作品の味わいを深めてくれる。 日本の教育現場では、彫刻刀で広い面を彫っていかなければならないこと、計画的に作業を進めていかねばならないことなどから、小学5年生の授業用に薦められている手法である。
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