巨細胞性腫瘍の発生論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/10/05 09:34 UTC 版)
「腱鞘巨細胞腫」の記事における「巨細胞性腫瘍の発生論」の解説
腱鞘巨細胞腫、骨巨細胞腫、巨細胞性修復肉芽腫、動脈瘤様骨嚢胞、軟骨芽腫など巨細胞性増殖を特徴とする骨・軟部腫瘍の一群がある。最近の研究によれば、腱鞘巨細胞腫と骨巨細胞腫では多核巨細胞は細胞化学的に酒石酸耐性の酸性ホスファターゼ陽性で、ビトロネクチンレセプター発現陽性であることから破骨細胞への分化を示すことが確認された。一方、単核間質細胞は骨芽細胞の形質を示し、アルカリホスファターゼ発現、NFκB ligandのレセプター活性化因子であるRANKLの発現が認められた。RANKLは破骨細胞形成に必須の因子であり、破骨細胞形成がRANKL依存性に生じていることが示唆されている。これらの単核細胞はオステオプロテグリン(osteoprotegrin, OPG)の発現も陽性で、破骨細胞形成の阻害因子として機能していると考えるべきである(Lau YS et al., 2005)。また、破骨細胞分化因子であるbasic helix-loop-helix型転写因子MITFの発現を巨細胞性腫瘍や腫瘍様病変で検討した結果、高率に単核または多核細胞にMITFが発現していることから、破骨細胞の最終分化に関わる転写因子が病変形成を修飾していることも明らかにされている(Seethala RR et al., 2004)。こうした破骨細胞への分化を制御する因子をターゲットに創薬的研究が進み、一部の巨細胞性腫瘍の治療への展望が開かれつつある。
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