川景色 (カラッチ)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 川景色 (カラッチ)の意味・解説 

川景色 (カラッチ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/04 09:09 UTC 版)

『川景色』
英語: River Landscape
作者 アンニーバレ・カラッチ
製作年 1590年ごろ
種類 キャンバス上に油彩
寸法 88.5 cm × 148.2 cm (34.8 in × 58.3 in)
所蔵 ナショナル・ギャラリー (ワシントン)
アンニーバレ・カラッチ『狩猟』 (1595年以前)、1.36 x 2.53メートル
アンニーバレ・カラッチ『釣り』 (1595年以前)、1.36 x 2.53メートル

川景色』(かわげしき、: River Landscape)は、イタリアバロック絵画の巨匠アンニーバレ・カラッチキャンバス上に油彩で描いた絵画である。サミュエル・H・クレス英語版氏のコレクションにあったもので、1952年に寄贈されて以来、ワシントン・ナショナル・ギャラリーに所蔵されている[1][2]。1590年ごろに制作されたが、当時、アンニーバレと兄のアゴスティーノ、従兄弟のルドヴィコは、宗教または神話の主題の形式的な背景としてではなく、田舎の情景それ自体を描く自然主義的な風景画を創造しようとしていた。この点で、この絵画はアンニーバレのより早い時期の『狩猟』と『釣り』 (ともにルーヴル美術館) [3]と比較できる。

作品

同時代の伝記作者によれば、アンニーバレは、人物画のための多くの委嘱の仕事をこなすことからの自身の逸楽のために風景画を描いた[2]。このような絵画によって、画家はイタリアのバロック絵画の主題として風景画を創造したといっていいかもしれない[1]。アンニーバレは、アゴスティーノ、ルドヴィコとともにスケッチをするために田舎に出ていた。絵画は、野外で描かれたスケッチをもとにアトリエで制作されたものであろう[1]。結果として、形態のバランスが取れた構図となっている。

柔らかな日差しが場面に注ぎ、水面を揺らすさざ波を明らかにする。木々の上の金色の光は、季節が初秋の1日であることを示唆する。鮮やかな赤色と白色の服に身を包んだ漕ぎ手が竿をさし、浅い川の中、舟を進める[1]。 情景を横切る川が前景に伸びてくるにつれ、周囲の土地が後退し、交互に律動的な三角形をなして突き出ている。アンニーバレの風景画に典型的に暗い前景が遠景を枠取り、遠近法は徐々に小さくなる木々によって強調されている[1]

本作は、イギリスの芸術鑑定家の第2代ノースウィック男爵ジョン・ラッシュアウト英語版により購入され、イングランドのチェルテンハム (Cheltenham) 近郊のサーレスタイン・ハウスにあった彼の私設画廊に展示された。1859年の彼の死に際し、そのコレクションが売却された際、本作はディエゴ・ベラスケスの作品であるとされ、かなりの年数を経たのちになってようやくアンニーバレに帰属された。1948年に、ニューヨークのサミュエル・H・クレス財団により購入され、近年、変色したニスの除去と剥がれた絵具に補筆する修復がなされた[4]

脚注

  1. ^ a b c d e River Landscape”. ワシントン・ナショナル・ギャラリー公式サイト (英語). 2024年3月12日閲覧。
  2. ^ a b Walker 1995, p. 312-313.
  3. ^ NHKルーブル美術館V バロックの光と影、1985年、21頁。
  4. ^ Italian Paintings of the Seventeenth and Eighteenth Centuries”. National Gallery of Art. 2020年6月20日閲覧。

参考文献

外部リンク




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  川景色 (カラッチ)のページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「川景色 (カラッチ)」の関連用語

川景色 (カラッチ)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



川景色 (カラッチ)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの川景色 (カラッチ) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS